今さら聞けない『プリキュア』20年の歴史 ⑭ とにかく明るくコミカルな『トロピカル〜ジュ!プリキュア』

第18作『トロピカル〜ジュ!プリキュア
放送期間:2021年2月28日~2022年1月30日
東映アニメーションプロデューサー:村瀬亜季
キャッチコピー:「メイクでチェンジ!ムテキのやる気!」
[登場プリキュア]
キュアサマーキュアコーラルキュアパパイアキュアフラミンゴの4人でスタートして、後にキュアラメールが追加

<ストーリー>
あとまわしの魔女たちに襲われ、ほとんどの住人がやる気パワーを奪われてしまった人魚の国グランオーシャンから、女王の命を受け、人魚の少女が伝説の戦士プリキュアを探すべく人間界へやって来ます。その人魚の少女と出会い、プリキュアに覚醒した3人の女子中学生たちが、平和を守るために、人間界にも手を伸ばしてきたあとまわしの魔女たちに立ち向かいます。


コンセプトモチーフは「」と「コスメ」、テーマは「今、一番大事なことをやろう!」。
南の島の海辺の町を舞台に、人魚と出会った少女たちがプリキュアになって戦うのですが、変身アイテムがメイク道具になっていて、コンセプト通り、メイクをすることで変身するのが特徴となっています。

『プリキュア』シリーズでは、第4作『Yes!プリキュア5』以来、センターキャラ(主人公)のカラーはピンクであることが慣例となっていましたが、この作品のセンターキャラであるキュアサマーは、髪色やリボンなどにピンクが入っているものの、基本色は白となっており、女の子=ピンクという既成概念からの離脱が試みられている印象を受けます。

前作と打って変わってコミカルな作風が特徴のこの作品ですが、そんな底抜けに楽しい作品を象徴するかのような伝説の回がありました。
シリーズ初の短編10本立てによる特別編として放送された第33話「Viva!10本立てDEトロピカれ!」です。
もはやギャグアニメかというくらいぶっ飛んだ内容で、トロピカル侍やら浦島太郎のパロディやら、登場キャラたちの心と体が入れ替わってしまったり、妖精のくるるんがプリキュアに変身したりといった具合に何ともカオスな内容で、新しい技名を考える話では、寿限無ネタのアニメ史上最長となる超絶長い技名が登場したりもしていました

『プリキュア』シリーズの伝統の一つに、主人公の口癖と言うものがあり、初代・美墨なぎさの「ありえな~い!」や、二代目・日向咲の「絶好調なり~!」から始まり、『スマイルプリキュア!』星空みゆきの「ウルトラハッピー!」、『スター☆トゥインクルプリキュア』星奈ひかるの「キラやば〜っ☆」などの他、中には『ハートキャッチプリキュア!』キュアブロッサムの「わたし、堪忍袋の緒が切れました!」のような決めゼリフ的なものまであります。

この作品の主人公・夏海まなつの口癖は、「トロピカってる〜!」という造語でした。
とにかく何に対しても、素敵、美味しい、かっこいなど肯定的な表現には「トロピカってる〜!」を連発するので、その使用頻度の高さもあって、数ある伝統の口癖の中でもトップクラスに印象に残り、まなつの陽気過ぎる性格をより強調するものとなっていました。
創設した部活まで「トロピカる部」だったり、もはや作品のテーマ自体が「トロピカってる〜!」で良いのではというくらい、シリーズ中で最も口癖が印象的だった作品と言えるでしょう。

<トピックス>
◆ メイクをしながら変身
◆ 人魚がプリキュアに変身
◆ シリーズ初のショートギャグ集回
◆ もはや作品のテーマが「トロピカってる〜!」


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※決定した技名は、「プリキュアジュゲムジュゲムジュゲムゴコーノスリキーレ ウルティメイト・マリンスプラッシュ・メガウェーブドラゴン・ トロピカル・マンゴーキウイ・リンボーダンス・ドンドコドンドコ・クラッシュ・ナイアガラシャワー フライングフェニックス大盛り特盛り激辛百倍替え玉無料背脂マシマシビューティー伝説パッシングショット ローラ・アポロドーロス・ヒュギーヌス・ラメールグランオーシャンいちの可愛くて美人で知的なクイーン・オブ・クイーンバブルボンバー フローラルピンク&パープルシャドウ秋の新作コスメティックポンポコピーのポンポコパンチ くるるうんくるるんくるるんるーん シューリンガンのクーリンダイ・グーリンダイのランドビートダイナミック」と、アニメ史上最長の技名としてギネスに認定されてもおかしくないくらいのものです。