今さら聞けない『プリキュア』20年の歴史 ② プリキュア放送開始

前回は『プリキュア』シリーズの序章を語りましたが、今回から数回にわたり、個々の作品に注目して、シリーズの歩みを解説していきます。

第1作『ふたりはプリキュア
放送期間:2004年2月1日~2005年1月30日
東映アニメーションプロデューサー:鷲尾天
キャッチコピー:「女の子だって暴れたい」
[登場プリキュア]
キュアブラックキュアホワイトの2人

<ストーリー>
「すべてを生み出す力」を持つ7つのプリズムストーンを狙う闇の世界ドツクゾーンに侵略されてしまった光の園から、人間世界へと逃げて来た妖精メップルとミップルと出会った女子中学生の2人が、伝説の戦士プリキュアに覚醒し、光の国を取り戻す戦いに挑みます。


主人公は、快活で自他共に甘い性格でラクロス部のスポーツ少女・美墨なぎさと、博学で、自他共に厳しい性格で科学部の雪城ほのかの2人。
刑事ドラマなどのバディものを意識して作られており、序盤では、元々友達関係ではなく、性格や価値観など何もかもが正反対の2人が、衝突して互いのことを理解していく姿が描かれました。

前作『明日のナージャ』がヒットしなかったため、当初はこの作品への期待度も低かったようでしたが、蓋を開けて見ると視聴率は好調で、メインアイテムとして発売されていた「カードコミューン」と「プリティコミューン」は、2004年の玩具売上1位2位を独占する程のヒット商品となり、これらのキャラクター商品によってバンダイに100億円以上の収益をもたらしました。

同じ年には、『わがまま☆フェアリー ミルモでポン!わんだほう』(シリーズ第3期)や『マーメイドメロディー ぴちぴちピッチ ピュア』(シリーズ第2期)、『マシュマロ通信』といった女の子向けアニメの人気シリーズが乱立していた中でのことなので、この成功は尚のこと価値が高いと言えるでしょう。

その結果、続編が制作されることになりますが、『おジャ魔女どれみ』シリーズと同じくストーリーを継続させるのではなく、1年で完結させた上で、キャラクターをそのままにまた新たなストーリーが展開されるという方式が取られます。

第2作『ふたりはプリキュア Max Heart
放送期間:2005年2月6日~2006年1月29日放送
東映アニメーションプロデューサー:鷲尾天
[登場プリキュア]
キュアブラックキュアホワイトの2人とシャイニールミナスというプリキュアに準ずる存在

<ストーリー>
前作で闇の世界ドツクゾーンの帝王ジャアクキングを倒し、平和が戻ったはずの光の国でしたが、滅ぶ間際のジャアクキングの放った攻撃が元で、光の国の女王が分裂して何処かへ飛び去ってしまいます。時を同じくして、新たに生まれた闇の四天王がジャアクキング復活を目論み活動を開始。この危機を知り、なぎさとほのかは再びプリキュアとなり、新たに出会った謎の戦士シャイニールミナスと共に、闇の四天王に立ち向かいます。


続投のプリキュアの2人に、新キャラを追加して新たな物語を展開する続編として制作でされたこの作品も、前作同様大人気で、変身アイテムの売れ行きも好調でした。
この時点ではまだ『プリキュア』がシリーズ化してプリキュアの仲間が増えていくという構想はなく、『ふたりはプリキュア』というタイトルに反することから、新キャラのシャイニールミナスはプリキュアではなく、2人をサポートする新たな戦士という曖昧な設定となっています(後にプリキュアの一員という扱いになりました)。

『プリキュア』の映画が初公開されたのも、この作品が初でした。
『映画 ふたりはプリキュアMax Heart』のタイトルで春季に公開されています。
翌年以降、『プリキュア』シリーズの映画は冬季に公開されるのが定番になるのですが、これは毎年2月に新作『プリキュア』が放送を開始することから、春季ではまだ新キャラクターや世界観が充分視聴者に浸透していなかったり、追加メンバーが未登場だったりする事情から、メンバーが全員揃い、且つキャラクターたちへの思い入れが充分に高まった段階で公開することで、集客効果を最大化させる狙いがあるためです。
『映画 ふたりはプリキュアMax Heart』の場合は、前年に引き続きの2部作であるということから、主人公2人への思い入れは充分で、さらに新たに登場したキャラクターの期待感も加味できることからの春季公開で、この年は、冬季にも『映画 ふたりはプリキュアMax Heart2 雪空のともだち』が公開されています。

同年には、『おねがいマイメロディ』シリーズや、『ふしぎ星の☆ふたご姫』シリーズという人気作品が放送を開始しており、女の子向けアニメの市場が活性化していった時期でもありました。

<トピックス>
◆ 新戦士の追加
◆ 初の劇場版公開


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※参考にしたバディもの作品として、『48時間』、『ダーティハリー』、『噂の刑事トミーとマツ』、『白バイ野郎ジョン&パンチ』といった作品名が上げられています。