ライセンス料が発生しないであろうアニメの活用方法 ④ アンパンマンのパン

アニメの未来を考える

地元のパン屋さんなどで、アンパンマンのキャラクターの顔を模したパンを見かけたことはないでしょうか?
地元のパン屋などが地域住民に販売している程度であれば、このような商売に関して著作権問題が発生することはないでしょう。
ただし、それは著作権がフリーであるということではなく、著作権侵害が申告罪であることから、原作者であるやなせたかしの意向もあって、あくまで黙認されているのに過ぎません。

アンパンマン以外のキャラクターであっても、その商売の範囲が小規模であれば、ほとんどの場合、黙認されてきましたが、それは、版権元が正式に許諾し、ちゃんとライセンス料を支払って商売している業者の不利益にならない範囲であれば、ということを大前提に成り立っているものかと思われます。

実際にはそんな事例はありませんが、例えば、アンパンマンのパンが販売されている公式ショップのすぐ近くの店で、公式ショップよりも安い値段で類似するパンが売られていて、そのせいで公式ショップの売上が下がったというような場合には、訴えられる可能性が出て来ます。
公式ショップが版権会社に被害が出ている旨を報告するため、版権会社はその要請に従って訴訟を起こすということになるわけです。

しかし、そうした実害がない範囲で、地方の小さなパン屋がキャラクターのパンを扱うことについては、全国に1万件もあるというパン屋の1件ずつに対し、調査や訴訟を起こしていては、逆にコストが見合わないからやらないだけです。何も温情や好意で黙認しているわけではなく、もっと現実的な損得勘定で得がないから放置しているわけです。

近年ではSNSの普及によって、買って来た商品の写真などが投稿されて全世界の人の目に晒される世の中になっているため、バズってしまうような優秀過ぎる商品は、版権会社の目に触れることも考えられるので注意が必要でしょう。
版権会社及び、公式ショップの商売に驚異を抱かせないレベルの、かわいい商売を心がけるのがポイントです。

こちらの場合には事例があって、2020年に『それいけ!アンパンマン』のキャラクターを象った人形焼を無断販売したとして、岐阜県の露天商が著作権法違反の疑いで書類送検されたというニュースがありました。
これは、移動販売車での販売日時をInstagramで告知・宣伝していたため、そのInstagramを見つけたアニメ制作会社が県警に通報したというもので、まさにSNSによって発覚したものです。

この事例では、生地をアンパンマンの形にするための金型、作品名やキャラクターのイラストが印刷された幟や看板、紙袋を作っていることから、パン屋にアンパンマンのパンが売られているのとは悪質さの度合いが段違いです。また、公式ショップで類似する人形焼きを扱っていることも問題視された要因になったかと思われます。

たくさんあるパンの中の一つにアンパンマンのパンも混ざっていて、自筆のイラスト付きで「アンパンマンのパンあります」という貼り紙を出す程度であれば、たとえSNSで取り上げられたとしても、おそらく問題ないでしょう。
要は、アンパンマンのパンがその店の主力商品という程の位置づけになっておらず、公式イラストなどを勝手に使用していなければセーフと考えて良いかと思われます。

今回は少し趣向を変えて、誰もが一度は見たことがあるであろうパン屋のアンパンマンのパン問題について、セーフとなるラインを考察してみました。
神籬では、こうした版権訴訟にならない活用ラインについての事例をご紹介すると共に、アニメなどのサブカル系コンテンツの活用法などについてのご相談を受け付けています。
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