打切アニメ列伝⑩ スポンサーの映画興行の失敗の煽りを受けた『FF:U ~ファイナルファンタジー:アンリミテッド~』
『FF:U ~ファイナルファンタジー:アンリミテッド~』
2001年10月2日~2002年3月26日/テレビ東京/全25話
原作:『ファイナルファンタジー』スクウェア/総監督:前田真宏/制作:GONZO
言わずと知れたスクウェア(現・スクウェア・エニックス)のRPG『ファイナルファンタジー』シリーズ』(特にVII)のアニメ化作品です。
4クール(全52話)の放送予定で始まり、視聴率も良く好評だったものの、メインスポンサーであるスクウェアが、2001年7月にアメリカで劇場公開した3DCG映画『ファイナルファンタジー』で記録的な大失敗※を喫し、約130億円もの巨額な特別損失を計上。
スクウェアでは、鈴木尚社長が責任を取って辞任、映画事業からは撤退、ソニー・コンピュータエンタテインメントの資本参加を余儀なくされる事態となり、その煽りを受けて、放送中だったアニメが打ち切られ、全52話予定でしたが、25話で終了して物語は未完のままとなってしまいました。
作品は、『ファイナルファンタジー』世界をベースにしているものの、「突如世界に出現した異界へ向かったまま、研究者の両親が行方不明になってしまった双子のアイとユウは、異界と地球を繋ぐ地下鉄に乗って両親を探しに向かいます。2人は地下鉄の中で出会った謎の女性リサと共に異界に踏み込み、異界で出会った孤高の戦士・風と魔剣士との戦いに巻き込まれていく」といったオリジナルストーリーとなっています。
原作ゲームに登場した有名キャラクターをイメージしたキャラクターデザインや、原作ゲームでお馴染みのチョコボ、召喚獣、飛空艇なども登場しますが、ゲームファンに拘らない広い視聴者層を想定したファミリーアニメ的なものを目指して制作されたとのことで、魔銃や魔剣で召喚獣を呼び出すシーンが見所となっていました。
本作品には、『ロマンシング サ・ガ』をはじめとするサガシリーズの生みの親として知られるゲームクリエイターの河津秋敏氏がベースコンセプトプランニングに参加しており、サガシリーズの『アンリミテッド:サガ』(2002年12月発売)と世界観を共有する裏設定があったそうですが、それも作品が予定通り制作されていれば描かれた可能性もあって、ファンとしては残念なところでしょう。
※ 製作費は総額1億3700万ドルで、全世界での興行収入8,513万ドル。同じ2001年7月に公開された『千と千尋の神隠し』が空前の大ヒットとなったため、メディアでは『千と千尋の神隠し』一色となり、『ファイナルファンタジー』の大失敗はひっそりと報道されたのみで、映画の存在すら一般に知られていないといった散々な状況でした。