声優の解説書 その③ 声優のお仕事

声優の解説書

前回は、声優が日本だけで発展した理由を取り上げましたが、今回は声優の仕事内容について紐解いていきます。

まずは声優業が基本的に担う仕事、つまり、どのような仕事を声優業とするかという点ですが、

  • アニメ、ゲーム、ラジオドラマなどで、登場キャラクターの声を演じること
  • 海外の映画・ドラマ・ゲームなどの日本語での吹き替え
  • テレビ・ラジオ番組、CMなどのナレーション
  • 交通機関や施設などの場内アナウンス・ナビゲーション

などが挙げられます。
部分的にナレーター業、アナウンサー業と重複する部分があり、定義づけや境界はかなり曖昧なところがありますが、そこに演じる要素があるかどうかで判断すると理解しやすいでしょう。
たとえば同じナレーションでも、バラエティ番組でアドリブ混じりにオモシロおかしく紹介したり、動物映像番組などで、時折動物たちの心の声を代弁するかのようなセリフを取り混ぜたりといったものは充分に声優業と言えますし、報道番組で事件などを紹介するナレーションでは、感情要素や個性を出さないように要求されますから、声優業ではなく、ナレーター業と考えてよいでしょう。
④の場合は、特定のキャラクターを使ったアナウンスやナビゲーションなどで、声優がキャラクターになり切って行うものなどが該当します。

声優
声で人物やキャラクターを演じる役者・演者。人物像や場面への理解から、キャラに成りきる演技力や、キャラの感情などを伝える表現力が求められます。

ナレーター
物事や物語などの語り手。正確に伝える音読能力と同時に、抑揚や読み上げの速度など、より聞く者へ訴えかける表現力が求められます。

アナウンサー
情報や指示などの伝達者。情報を正確に且つ分かりやすく伝えるための、文法や語彙、正確なアクセントなどの能力が求められます。

これに加えてナビゲーションというものもあり、アナウンスに加えてガイドも行うバスガイドや博物館などの音声ガイダンスなどがこれに該当しますが、これを合わせるとさらに区分けが難解になり、はっきりと区分けできないものだと理解した方が良さそうです。

沢城みゆきによる映画のナレーション

沢城みゆきによる報道番組のナレーション

沢城みゆきによるロープウェイのアナウンス(ナビゲーション)

『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』コラボラッピング列車で、出演声優による車内アナウンスの実施(2021年12月~2022年3月)

声優人気が高まると、声優が顔出しでイベント出演をしたり、ラジオパーソナリティを担当するなど活動の幅が広がってきています。例を挙げるだけでも、

  • アーティスト活動(歌手、バンド、ラッパー、アイドルユニットなど)
  • イベント出演(作品のPRイベント、朗読会、声優個人のファンクラブイベントなど)
  • ラジオパーソナリティ
  • タレント
  • 俳優(映画・ドラマ・舞台)
  • グラビアモデル(雑誌のグラビア、写真集など)

など多岐にわたり、最近では、大河ドラマや民放の人気ドラマへの声優の出演が度々話題に上ったりして、声優の活動への関心の高さが伺えます。

これらはあくまで、声優を生業とする人、もしくは声優という肩書を持った人が、その人気や技能を活かして声優以外の活動もしているというものであって、声優業自体の領域が拡大したわけではありませんが、世間的には、声優という仕事の幅が、かように多岐にわたるものだと認識されはじめていることも事実です。
「アイドル声優」、「声優アーティスト」という言葉も使われるようになり、本来の声優業ではなく、声優が行うステージでの歌やダンスに憧れて声優を目指す若者も珍しくなくなっていることから、上記に挙げた声優の定義自体も、現在の若者にとっては、古臭い既成概念でしかないのかもしれません。

次回は声優の労働闘争について取り上げます。


声優の解説書 その①
声優の歴史 第一章 ラジオ時代
声優の歴史 第ニ章 テレビ時代
声優の歴史 第三章 声優事務所と養成機関の拡大
声優の歴史 第四章 声優ブームの到来

声優の解説書 その② 声優は日本だけの特殊な職業
声優の解説書 その③ 声優のお仕事
声優の解説書 その④ 声優の労働闘争
声優の解説書 その⑤ 声優の報酬システム

声優の解説書 その⑥
キャスティング事情1 オーディションの募集
キャスティング事情2 オーディション内容
キャスティング事情3 オーディション以外