練馬区に新設された仮面ライダーマンホールを見て来た件

3月28日に練馬区が公式Twitterにて、仮面ライダーのデザインマンホールと、ラッピング地上機器を設置したとの発表があったので、早速見てきました。

前振りも、お披露目会もなく、突然唐突に「設置しました」告知です。
リンク先の練馬区公式サイトのページを見ると、3月21日に予告の記載があったようですが、区のサイトを毎日チェックでもしていないと気づかない感じです。
SNSを使って前もって告知したり、お披露目会を開いたり、ニュースサイトに情報提供を行うなどの適切な広報活動を行えば、いろんなところで取り上げられたかもしれませんが、まだ話題に上ってない様子です。
この辺り、相変わらずの練馬区のプロモーション下手さが垣間見えます。
かく言う筆者も、日頃から練馬区の公式Twitterをチェックしていなければ、気づかずスルーするところでした。

まずは仮面ライダーのマンホールです。
プラッツ大泉というショッピングセンター前の横断歩道付近で、お客様を出迎えるような位置に設置されています。

マンホール付近には、『仮面ライダー』の仮面ライダー1号がライダーキックを放つ姿がラッピングされており、なかなか見応えがあります。
庵野秀明監督による映画『シン・仮面ライダー』が上映中なことから、このタイミングでの設置なのだろうと思われますが、特に映画の公式Twitterでは上記の設置のお知らせツイートがリツイートもされてはいないようなので、無関係に進めて広報から先方に連絡もしていないのかもしれません。何とももったいない。

『仮面ライダー』のマンホールとラッピング地上機器の道を挟んだ向かい側のオズスタジオシティ前には、『秘密戦隊ゴレンジャー』のゴレンジャーと、『がんばれ!!ロボコン』のロボコンのラッピング地上機器があります。

『秘密戦隊ゴレンジャー』は1975~1977年の放送で、平成に放送された戦隊シリーズの『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011年放送)を始め、近年の作品にもゲスト登場しています。
『がんばれ!!ロボコン』は1974~1977年の放送で1999~2000年にはリメイク作品である『燃えろ!!ロボコン』も放送されましたが、それ以降は後続作品もありません。
どちらも40代以上の人でないとなかなか馴染みのない作品かもしれません。

こちらは、東映アニメーションミュージアム前付近には、『ふたりはプリキュア』のキュアブラックとキュアホワイト、『デジモンアドベンチャー』の八神太一とアグモンのラッピング地上機器です。
共に東映アニメーションの代表的なオリジナル作品で、特にプリキュアシリーズは20周年記念ロゴ付きとなっています。

小1時間程現地に滞在して様子を窺っていましたが、商業施設前とあってそこそこの人通りはあるものの、マンホールの方に目を止める人はいても、ラッピング地上機器に目を止める人は見られず、ほぼ素通りされていました。
練馬区の告知が控え目だったこともあって、これが区の施策であることに気づかず、単なる広告の一つくらいにしか映っていないのか、はたまた作品に馴染みがない、あるいは興味がないのか、なかなか厳しいようです。
どこかのニュースサイトが取り上げてくれたら、もう少し様子が違っていたかもしれませんが、ちょっと残念ですね。

東映アニメーションミュージアムは休館日でしたが、前面のウインドウがプリキュア20周年仕様になっていたので、こちらもついでに撮影してきました。

写真の左下に移っている変圧器の反対側に『ふたりはプリキュア』がラッピングされています。

初代『ふたりはプリキュア』の主人公2人と最新作『ひろがるスカイ!プリキュア』の主人公キュアスカイ、さらに歴代作品のピンクカラーのキャラクター(主人公)たちが勢揃いしています。


今回のデザインマンホールとラッピング地上機器の設置という取り組みは、スタジオツアー東京‐メイキングオブハリー・ポッターのオープンに伴い、練馬区が「アニメ・イチバンのまち 練馬区」のキャッチフレーズを下ろして、新たに掲げ出した「映像∞文化のまち」構想の一環のようです。
作品点数やマンホールが『仮面ライダー』だけであることからも、メインは東映の特撮作品で、アニメは映像というカテゴリの中の一つという位置づけなのでしょう。
以前のコラム内で提案した『プリキュア』シリーズのマンホール設置は今回も実現しなかったようで残念です。

もう一点気になったのは、「ラッピング地上機器」というネーミングです。
こういう施策はネーミングも重要で、ニュースサイトで取り上げられた際に、パッとそのものが想像できるようなキャッチーな言葉である方が良いわけです。
「ラッピング自販機」や「ラッピングポスト」の前例に倣ってのネーミングなのでしょうが、「地上機器」というのは、名前だけ聞くと何のことかわかりません。

この「地上機器」と呼称されたものは、「地上用変圧器(通称「パットマウント変圧器」)」とか「トランスボックス」などと呼ばれる電力インフラ向けの配電設備です。
無電柱化施策により電信柱を撤去して電線を地下に埋めても、変圧器は地上に設置しなくてはならない(地下では放熱できないため)ことから、一定間隔ごとに道路上へと設置されています。
この地上用変圧器にラッピングをするというものは、各自治体でも随分前から行われており、珍しいものではありません。

すぐにそれだと判るかは微妙ですが、「トランスBOXラッピング」とした方が響きの点でいくらかマシになりそうですし、あるいは単純に「モニュメント」とした方がまだしも通りが良さそうに思われます。

また、設置された場所は大泉地区の大型商業施設ではあるものの、最寄り駅の大泉学園駅からは徒歩15分程の距離にあるためアクセスが悪く、経路にも目ぼしい施設や店などもないため、回遊の点では効果が見込めません。
いわゆる点であって線としての効果が見込めないわけです。

実はこの商業施設前の750m程の通りは、「東映通り」という名前が付けられているものの、東映にまつわるものは何もなく、モニュメントどころか作品の看板なども全くありません。
東映撮影所は入口に作品の看板こそ掲げられているものの、立入禁止で中に入ることはできません。
世田谷の東宝スタジオのように、建物壁面に『ゴジラ』や『七人の侍』の巨大壁画があったり、入口にゴジラのオブジェがあったりもしないため、現状では東映撮影所に集客スポット的な効果を見込むことは難しそうです。
東映撮影所の向かい側にある東映アニメーションミュージアムは、区民でさえ知らない人がいるくらいのマイナースポットです。

今回の施策が第1弾に過ぎず、第2弾、第3弾と続くものなのか、今のところ何の発表もありませんが、大泉学園駅から東映アニメーションミュージアムを繋ぐ通りにモニュメントを配置して、且つ通り沿いにアニメショップや、仮面ライダー・戦隊シリーズにまつわる施設・店(仮面ライダー・ザ・ダイナーとか)などを誘致することで、点ではない線での施策とし、このエリアを盛り上げてくれることを願います。


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