NHK紅白歌合戦に『ONE PIECE FILM RED』のウタの出演が決定した件
今年の大晦日に放送される「第73回NHK紅白歌合戦」に『ONE PIECE FILM RED』のウタが出演することが発表され、アニメのキャラクターが出場歌手の一人として出演するのは紅白歌合戦市場初とのことで話題となっています。
『ONE PIECE』は国民的アニメですが、ウタは劇場版のオリジナルキャラで、まだテレビ放送もされておらず、原作マンガにも登場していないので、歌手キャラクターとしては初音ミクの方が知名度は高そうな気もしますが、実質的には歌パートを担当しているAdoの出場に、人気アニメである『ONE PIECE』を乗っけたというのが実情なのではないかと思われます。
ちなみに初音ミクは、歌手としての出場ではありませんが、2018年の紅白歌合戦のオープニング映像の中で、サプライズ登場をしていました。
ウタが紅白のステージ上で何かしゃべるような演出があるのかは現時点ではわかりませんが、もし歌の前に、ルフィたちとの掛け合いなどの寸劇めいたものがあるとすれば、当然ながら、ウタのドラマパートを担当する名塚佳織が出演することになるわけです。
声優の紅白出場に関しては、2009年の第60回に水樹奈々が声優として初めて出演し、以降第65回まで6年連続で出場しています。翌2015年の第66回では、『ラブライブ!』の声優ユニットであるμ’sが出場しましたが、その後の声優出演はなく、2018年の第69回では出場枠ではないものの、『ラブライブ!サンシャイン!!』の声優ユニットであるAqoursが「世界で人気のジャパンカルチャー特集」という企画枠の中で登場し、デビューシングル曲である「君のこころは輝いてるかい?」を歌っていました。
2019~2021年の第70~72回は、空前の『鬼滅の刃』ブームでLiSAが『鬼滅の刃』の楽曲で出場しましたが、もちろんLiSAは声優ではありません。アニメ枠としては継続しているように見えますが、声優枠(というものがあるわけではありませんが)としては出場が途絶えてしまっています。
今年のウタの出演もアニメ枠であって、たとえ名塚佳織が声で出演しても、声優が紅白に出場したとまでは言えません。
紅白出場が昭和の昔ほどには価値がある存在ではなくなっているとはいえ、まだ紅白出場が年末の話題になる程度には価値はあるので、声優ファンにとっても、自分の好きな声優が紅白に出演して欲しいと望む声もあるかと思います。
ここ数年で声優人気が異常な高まりを示しているとはいえ、声優のアーティスト活動については、声優ファンの間では人気でも、一般の方々にまで知られるようなヒット楽曲がなかなか現れず、『ウマ娘 プリティーダービー』の出演声優たちが歌う主題歌『うまぴょい伝説』がわずかに中ヒットといった程度で、声優枠云々という前に、紅白に出る程のヒット曲が近年なかなか出ていないという事情も窺えます。
近年では、YOASOBIやAdo、米津玄師、Official髭男dismなどのヒットメーカーが次々にアニメのOP・ED曲を担当してヒット曲を生み出しており、前述のLiSAの『鬼滅の刃』ソングもありますから、そちらの熱の方が高く、声優ユニットや、アニソン歌手がやや影が薄くなってしまっている印象があります。
必ずしも現在の声優ユニットや、アニソン歌手の楽曲に良いものがないわけではないので、きっかけ次第でかつての勢いを取り戻す可能性は充分にあり、今後の復活に期待したいと思います。