オタク的見地から、今後できてほしいと思うサブカルスポットを考えてみた件 ⑩ガチャガチャのススメ

アニメの未来を考える

ガチャガチャのススメ

全国には、ガチャガチャだけを設置した無人ショップのいわゆるガチャ専門店(カプセルトイ専門店)がすでに350店舗以上もあります。
専門店ではなく、商業施設や駅構内でのガチャコーナーなどを含めると、さらに増え、ガチャ筐体の数は50万台売以上もあると言われています。

このガチャ筐体、誰でも購入できる上、クレーンゲームなどのような法律上の規定もないので※1、基本的には何を販売しても自由です。
屋外設置も可能なちゃんとしたものでも1.5~3万程度、中古品であればもっと安く購入できますし、屋内用で強度を求めなければ数千円程度で購入できてしまいます。
さらに、初期費用無料で始められるレンタルサービスもあったりと、導入ハードルの低さが特徴です。

100円硬貨などではなく、特定のメダルを使用するタイプもあります。
このタイプを使えば、金銭による物販ではなく、スタンプラリーのクリア報酬としてメダルを渡し、それでガチャガチャができるといったような、ミッション系イベントの景品的な利用もできるのです。
アイデア次第で幅広く活用ができるアイテムであると言えるでしょう。

このガチャ筐体の活用方法のアイデアを一つ挙げてみましょう。
アニメの舞台となった地域などを作品のファンが訪れる聖地巡礼ですが、訪問先が必ずしも観光地とは限らず、土産物屋などがない場合があります。
記念に何か買って帰りたいと思っても、作品関連の商品が何もなくては金の落とし処がありません。
そんな需要に応える手段として、ガチャガチャを設置して、作品グッズを販売するのです。

商店街やある程度の商店が点在するような地域で、聖地巡礼客などに対して何かしらのおもてなしをしたいと考えていても、難しいものがあります。
アニメグッズなどを取り扱ったことながい飲食店や衣料品店などに、いきなりアニメ関連のグッズを販売してくれと頼むのはかなりハードルが高いからです。
何を仕入れて良いのかわからないだろうし、そもそも聖地巡礼やアニメ作品の存在すら知らない可能性もあります。

そこで、自治体の観光課などが手配を代行し、店舗側には商品(カプセルトイ)の補充と硬貨回収だけをお願いする形であれば、負担はかなり少ないでしょう。
商品補充や売上回収などは自治体の管理者が定期的に商店を回って行うのであれば、店舗側は、ガチャガチャを店頭もしくは店内に置くだけで済みます。

売上の何割かを設置してくれた店にも還元するなどの仕組みで実施すれば、ハードルがぐんと下がって各店も協力がしやすくなります。
商品は基本的に買い取りなので、在庫リスクはもちろんあります。
しかしそこは、単純な収益額ではなく、聖地巡礼客の誘致や自治体のPRを目的とすれば、自治体としては充分に目的を達成できるでしょう。

筐体10台で、1個300円のカプセルトイを販売すると仮定すると、原価率は60~70%くらいなので、100個購入しても、仕入価格は2万円程。
筐体を購入しても10台で20~30万円程。
筐体1台には、65mmのカプセルが約50個程入るので、1ヵ月50個のみ補充なしで運用するとした場合、初期費用30万円程。ランニングコストは毎月10万円程で運用できることになります。
自治体の規模にもよりますが、ちょっとした展示会やイベントでも100万円程はかかるので、これと比較すれば、県や市の広報としては、それ程大きな金額ではないはずです。
費用が少ない反面、売上規模もそれ程大きな額にはならないので、集客効果を考えても設置店舗側にはメリット感が薄く、協力を渋ることも考えられるでしょう。
そうした場合には、店舗側には売上に関係なく一定額の手数料を支払い、観光事業の一つとして運用する方法も考えられます。

アニメの聖地となった地域に行っても、アニメ関連のものが何もないと寂しい気持ちになりますが、作品グッズのガチャガチャがあるだけで、聖地巡礼客の満足度が各段に上がります。
何もキャラクターの等身大パネルや大きなポスターを飾り立てるような派手なことをせずとも、ガチャガチャを数台置くだけで、それを見つけた時の発見の楽しさもあり、非常に高い効果を生み出すことができるでしょう。
聖地巡礼をする人たちの多くは、地元の人たちに拒絶されないか心配で、自分たちが訪れることで作品に悪影響があることを怖れます。
しかし、こうしたガチャガチャを置くことで、地元の人たちが聖地巡礼客に対してウエルカムな気持ちを持っているという信号にもなり、訪問客を安心させる効果もあります。

ガチャ筐体は自動販売機と違って持ち運びが容易なので、盗難などのトラブルを考慮すると、屋外の人目のない場所には設置し難い点がありますが、設置コストが低く、場所もそれ程取らないため、導入のし易さの点が長所です。

ガチャガチャはアニメの聖地や、サブカル系の客層を取り込み集客に繋げたい地域にとっては、とても有効なアイテムとなり得ると同時に、訪問客にとっても少額で楽しめる魅力的なアイテムであって、さらに作品側にとっても露出が増え、話題に上ることは望ましいとあって、アニメグッズを取り扱うガチャガチャがもっと町に増えて欲しいところです。


神籬では、サブカル系コンテンツで店舗や商店街を活性化させたいというご相談も受け付けています。
クライアント様の特性や状況などに合わせて提案させていただき、運用方法なども含め、幅広くサポートさせていただきます。
ご興味にある方は、是非問い合わせフォームからご連絡下さい。


※1 異なる種類のカードやアイテムがランダムに出る仕組みで、特定の組合せを揃えた利用者に対して特別なアイテム等を提供する、いわゆる「コンプガチャ」と呼ばれるものがあります。これは、ガチャガチャに限ったことではありませんが、「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」により、景品表示法上の禁止事項となっています。
また、当然のことながら、表示されている商品と異なる


オタク的見地から、今後できてほしいと思うサブカルスポットを考えてみた件
①『ドラゴンボール』のスポットが圧倒的に足りない
②『プリキュア』のスポットが足りない
③ アニメ飯専門レストラン
④ ファンタジー世界に行きたい 前編
⑤ ファンタジー世界に行きたい 後編
⑥ アニメの再現店
⑦ 廃校の再利用 前編
⑧ 廃校の再利用 後編
⑨ アニメのコラボ自動販売機(自販機)のススメ
⑩ ガチャガチャのススメ
⑪ ビル1棟アニメ化計画
⑫ 全てのアニメ資料を所蔵するアニメ図書館
⑬ オンリーワンな私設博物館の町のススメ