声優の大河ドラマ出演

『進撃の巨人』や『鬼滅の刃』のヒット以降、声優に注目が集まり、この声優ブームに乗っかる形で、話題性やPR目的で声優をドラマにゲスト出演させるケースが良く見られます。
最近でも、テレビ朝日の『科捜研の女』に三石琴乃（2019年8月）、福山潤（2021年9月・劇場版）、沢城みゆき（2021年10月）、三澤紗千香（2022年2月）、同じくテレビ朝日の『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』（2022年4～6月）では津田健次郎が主人公の恋敵役で準レギュラー出演したり、TBSの『オールドルーキー』第7話（2022年8月）では、津田健次郎と平田広明がゲスト出演、同じくTBSの『石子と羽男』第2話（2022年7月）、第8話（9月）に宮野真守がゲスト出演していました
アニメ映画では、PR目的で俳優やお笑い芸人が声優に挑戦するということが良く行われていますが、逆転現象とも言える状況が発生しているわけです。

この声優のドラマ出演で特に顕著なのはNHKの大河ドラマで、これまでの出演例を挙げてみても、

『真田丸』
高木渉　：小山田茂誠（第1～6,18,23～26,36～39,41～46,48～50話）

『西郷どん』
緒方賢一：中山忠能（第35～36話）

『麒麟がくる』
大塚明夫：宗次郎（第1話）
緒方賢一：僧正（第29話）

『青天を衝け』
小山力也　：酒井忠績（第14話）
置鮎龍太郎：正親町三条実愛（第19話）
高木渉　　：玉乃世履（第29～30,32話）

『鎌倉殿の13人』
木村昴    ：以仁王（第3話）
平田広明：佐竹義政（第10話）
緒方賢一：願成就院の住職（第21話）
関智一    ：土御門通親（第24,27～28話）
山寺宏一：慈円（第32～34,37～38,40～43,45～47話）

『どうする家康』
木村昴    ：渡辺守綱

といった具合で、中でも今期の『鎌倉殿の13人』は特に声優起用率が高く、毎回声優が出演する度にYahoo!ニュースで取り上げられる程に話題を呼んでいます。
芸能人やお笑い芸人の声優挑戦には難色を示しがちな声優ファンたちも、声優のドラマ出演に関しては概ね好意的に受け止める傾向が見られ、新しい視聴者層を取り込みたい狙いは成功しているとも言えます。

芸能人やお笑い芸人の声優起用でも、『アナと雪の女王』の松たか子・神田沙也加や、『怪盗グルー』の笑福亭鶴瓶のように、実際に違和感がない場合は批判的な声があまり上がらないように、元々演技力が高い声優を起用していることや、声優は舞台出演をすることも多いので、俳優としてドラマに出演をしても、専業俳優と遜色ない仕事ぶりを発揮し、違和感を抱かせないことも、視聴者側の歓迎ムードの要因となっていると思われます。
もしこれが、若手でまだ演技力が高くないようなアイドル声優を起用したとしたら、今回のようなポジティブな受け止め方とは違う反応があったかもしれません。

来年の大河ドラマ『どうする家康』には、木村昴が主要キャストとして出演することが発表されていますが、この声優のドラマ出演の珍しさが薄れていって、いずれはPR効果としての賞味期限が来てしまうものなのか、あるいは、PR効果がなくとも、俳優の能力やキャラクター性を買って出演オファーがあるものなのか、今後の推移を見守っていきたいと思います。