トキワ荘と周辺地域を巡ってきた件 ① トキワ荘マンガミュージアム

昨年11月にトキワ荘通りに昭和レトロ館という新しい施設がオープンしたこともあり、豊島区立トキワ荘マンガミュージアムとトキワ荘通りのアニメ・マンガ関連スポットを巡って来たので、レポートの形で紹介したいと思います。

ギシギシと音を立てる階段や配電盤、木目が鮮やかな天井板、共同炊事場のスープの残ったラーメンの器(トキワ荘の住人が常連だった松葉のもの)、カビの生えたパンなどから、共同便所の便器の黄ばみに至るまで当時の様子が再現されていますが、さすがにミュージアムなので、どこか清潔感があります。おそらく当時はもっと不潔な感じだったことでしょう。

廊下も物が無く清潔ですが、当時の写真を見ると、無数の空き瓶やら雑誌の束などのゴミが無造作に置かれていて、もっと雑然としていたようです。
聞いたところでは、トキワ荘は大分安普請で建造された建物で、木材なども安いものを多用したため、劣化が早く、わずか30年で老朽化のために解体されてしまったとのこと。
当時は床も壁も凸凹で、汚れなども数倍は酷かったはずなので、その辺りも想像しながら見学すると当時の雰囲気がよりリアルに味わえます。

展示室には鈴木伸一が描いたという各部屋の住人だったマンガ家たちの部屋割り図がありました。
石ノ森章太郎、赤塚不二夫、藤子・F・不二雄、藤子不二雄Ⓐの4人が横並びの部屋割りというのは、なかなかに豪華な並びです。

手塚治虫や藤子不二雄、石ノ森章太郎の部屋は、調度品などは再現されておらず、パネルやテーブル、机などが簡易的に置かれているだけです。
再現展示がされているのは、石ノ森章太郎のアシスタントだった山内ジョージの部屋(18号室)、水野英子の部屋(19号室)、よこたとくおの部屋(20号室)の3部屋のみで、その他の部屋は展示ルームや体験ルームとなっています。
(20号室は時期によって、鈴木伸一・森安なおやの部屋と展示の入れ替えをするとのことです)

1階はマンガラウンジと企画展示室となっており、企画展「藤子不二雄Ⓐのまんが道展」が開催されていました(こちらの紹介は次回)。
マンガラウンジには、天井までの壁一面にトキワ荘のマンガ家たちの作品のマンガ本やフィギュアなどが飾られていて、素晴らしく写真映えする空間になっていますが、残念なことに撮影不可とのことです。

さらに、取り壊しを知ってトキワ荘を訪れた手塚治虫が天井板に描いた『リボンの騎士』のサファイアの絵と自画像が展示されており、これが一番見たかったものだったのですが、こちらも撮影不可とのことで、訪れた人だけが見られる貴重なお宝となっています。
その他、多くのマンガ家たちからトキワ荘に寄せられた色紙なども飾られていました。

館外にも見所があり、建物前には当時の姿を再現して作られたトキワ荘の看板や電話ボックスもあります。看板は、時期によって形状や書体が変化していたとのことで、面によって2種類の書体で再現されています。
電話ボックスは、扉が開かない形だけのオブジェですが、中にはちゃんと電話機が設置されていました。

建物の側面や裏側にも回れるので、ちゃんと再現されている屋外階段や便所の汚水管なども見ることができます。
建物全体に錆や汚れなどの古塗装が施されているのですが、キャッチボールをした想定のボール跡もあったりして、なかなか芸が細かいです。

次回は、「藤子不二雄Ⓐのまんが道展」やトキワ荘周辺をご案内したいと思います。