海外で流行っている昭和のロボットアニメの謎を紐解いてみた件 ② 『UFOロボ グレンダイザー』中編

アニメの解説書

前回はフランスにおける『UFOロボ グレンダイザー』の熱狂的ブームを取り上げましたが、実はこの作品がブームになったのはフランスだけではありません。

イタリアでの熱狂的ブーム

イタリアで『UFOロボ グレンダイザー』が放送されたのは1978年4月から1979年1月までです。
『Atlas UFO Robot』のタイトルで国営放送にて放送され、視聴率は70~80%を超えていたそうですから、フランスと同じくイタリアにおいても日本製のロボットアニメがブームを巻き起こしたようです。

フランスとイタリアは国境を接しており、ブームの時期も重なっていることから、関連商品の流通を共有していたことが推察されますが、イタリア国内でも玩具やコミック、レコード、衣料品、日用品などを含め、無数の商品に『UFOロボ グレンダイザー』のイメージが使われた商品が販売され、イタリア中の店を埋め尽くしたといいます。

『UFOロボ グレンダイザー』は再放送が繰り返され、テレビシリーズを再編成した劇場版作品が上映されたり、東映まんがまつり枠の劇場版作品も再編集して公開されました。セリフは当然ながらイタリア語で吹き替えられている上、キャラクターの名前や、オープニングの楽曲も変更されており、作中の挿入歌などもイタリアのオリジナル楽曲が使われていたりと、日本版とはやや異なるものとはなっているようです。

イタリアでは、1979年に『グレートマジンガー』(『Il Grande Mazinga』)が、1980年には『マジンガーZ』(Mazinga Z)が、本来の放送順とは逆の順番で放送されました。そのこともあってか、イタリアではシリーズ作品とは認識されなかったそうで、『UFOロボ グレンダイザー』のような異常な程の人気ではないものの、通常程度での人気作品ではあったようです。

2019年のイタリア・フォッローニカの街で行われたお祭りに、動くグレンダイザーの山車が登場したことが話題になりましたが、群舞の人たちがベガ星人やキャラクターたちのコスプレをしていたりと、その熱狂ぶりが伺えます。

トスカーナ州のオルベテッロの丘には、大地を貫いたかのような実物大のグレンダイザーの腕が立っています。

現在の日本では、30歳以下の人には名前さえ知らない人が多いのではと思われる作品で、日本では『マジンガーZ』が切り開いたスーパーロボットブームの火付け役を、イタリアやフランスでは『UFOロボ グレンダイザー』が担うことになりました。

新作アニメが大量に生産されるようになった日本では80年代以降は再放送もほとんどなくなり、スーパーロボットブームも30代後半以降の人たちの懐古的な人気の対象であることが主流であるのに対し、イタリアやフランスでは、繰り返し再放送されたことで、世代を超えた人気作となり、子供から大人まで人気のある作品であることも特徴の一つとなっています。


次回に続く。