アニメ制作会社の生存戦略 その① 現在の制作会社の仕組み

連載コラム「アニメの未来を考える」

先のコラム『アニメ制作のビジネスモデルの歴史』で、ビジネスモデルの過去の変遷をテーマにしましたが、今回は現状を語りたいと思います。

映画館上映の興行収益が主な収益だった時代に対して、『鉄腕アトム』と共に始まったテレビアニメ時代では、スポンサーからの制作費に、作品の関連商品によるロイヤリティ収益+海外販売による収益というビジネスモデルに代わり、さらに製作委員会方式の登場によって、制作会社の収益が制作費のみに限定されてしまったり、そこから脱するために自社でも出資したり、自社で版権を扱うなどの企業も現れてきているというのが先のコラムのあらすじでした。

現在では、一言にアニメ制作会社といっても、その経営体制や在り方も一様ではなく、その違いを考慮しないで語っても状況を正確に把握することはできません。
そこで、制作会社を大別してみると、概ね下記のような4種に分類できるかと考えられます。

  1. 単独で制作受注している制作会社
  2. 自社も出資会社の一角となり、版権収益+制作費で成立している制作会社
  3. 大企業や巨大グループ企業の傘下に入り、制作部門に特化している制作会社
  4. 企画会社や配給会社などが子会社として作った制作会社

制作会社も多様化が進んでおり、完全な分類は難しいのですが、主に経営面に焦点を当てる形で、大胆に上記のような分類を試みてみました。
他にも、徳間書店が出資して設立したスタジオジブリや、持株会社体制で制作会社のグループ企業を作ったプロダクションI.G、トリガー、サンジゲン、ライデンフィルム、大企業との資本提携で独立性を保ちながら経営資源を確保しているサテライトといった、この枠に収まらない特殊な経緯を持つ制作会社もあるので、これらの会社については、またいずれ別の機会に語ることが出来たらと考えています。
次回以降は、この分類ごとに、各々の制作会社タイプの仕組みや特徴を解説していきます。


アニメ制作会社の生存戦略
その① 現在の制作会社の仕組み
その② 独立系の制作会社
その③ 自社作品に出資する制作会社
その④ 大企業の庇護下に入る制作会社
その⑤ 企画・配給会社が新設した制作会社