アニメ制作会社の生存戦略 その④ 大企業の庇護下に入る制作会社

連載コラム「アニメの未来を考える」

制作会社の分類の第二弾。今回は、「自社も出資会社の一角となり、版権収益+制作費で成立している大手制作会社」について説明していきます。

3.大企業や巨大グループ企業の傘下に入り、制作部門に特化している制作会社

このパターンで一番有名なのが、バンダイナムコグループ傘下のサンライズ※ですね。
サンライズは、1972年創業の制作会社ですが、1994年にバンダイ※の資本参加を受けてその傘下に入り、グループ企業の徹底した管理体制のもと、受注作品の自由はなく、売上を期待できる作品のみを制作するよう強いられはしたものの、制作会社としては盤石な体制で成長路線を続けています。
ソニーグループ傘下のアニプレックスが作ったA-1 Picturesは、傘下に入るというのとは経緯が異なりますが、グループ企業の傘下にあってアニメの制作だけを担っているという構図は一緒です。
2(自社作品に出資する制作会社)に上げた制作会社でも、セガの100%子会社のトムス・エンタテインメントや日本テレビホールディングスが筆頭株主のタツノコプロのように、資本を親会社に依存しているところもあります。

<大企業・巨大グループ企業の傘下に入った制作会社>

  • サンライズ ※/バンダイナムコグループ 1994年子会社化
    (『機動戦士ガンダム』『ラブライブ!』『ケロロ軍曹』など)
  • エイケンADKホールディングス 2002年子会社化
    (『サザエさん』など)
  • シンエイ動画テレビ朝日 2009年子会社化
    (『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』など)
  • マッドハウス日本テレビ 2011年子会社化
    (『カードキャプターさくら』『ちはやふる』など)
  • デイヴィッドプロダクションフジテレビジョン 2014年子会社化
    (『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズ『はたらく細胞』など)
  • オー・エル・エムIMAGICA_GROUP 2016年子会社化
    (『ポケットモンスター』シリーズ『妖怪ウォッチ』シリーズなど)
  • Seven ArcsTBSホールディングス 2017年子会社化
    (『魔法少女リリカルなのは』シリーズなど)
  • DLE朝日放送グループホールディングス 2019年子会社化
    (『秘密結社鷹の爪』シリーズなど)
  • SILVER LINK.朝日放送グループホールディングス 2020年子会社化
    (『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』など)

※株式会社バンダイは、ポピー、バンダイ模型、マミート、セレンテなどの企業と大合同して2005年に設立したバンダイナムコホールディングスを中核に、バンダイナムコグループという企業集団を形成して現在に至ります。

※株式会社サンライズは、2022年4月1日付の経営統合・再編により、株式会社バンダイナムコフィルムワークスに商号変更されたため、「サンライズ」の名称は法人名としては消失し、現在はBNFの商標・ブランド名となっています。

次回以降は、この分類ごとに、各々の制作会社タイプの仕組みや特徴を解説していきます。


アニメ制作会社の生存戦略
その① 現在の制作会社の仕組み
その② 独立系の制作会社
その③ 自社作品に出資する制作会社
その④ 大企業の庇護下に入る制作会社
その⑤ 企画・配給会社が新設した制作会社