ロボットアニメの現在② ロボットアニメ衰退論
2022年6月3日に公開された劇場版アニメ『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』の興行収入が1か月で10億円突破と好調で、ロボットアニメの底力を見せてくれましたが、近年ロボットアニメは衰退論が唱えられて久しいジャンルとなってしまっています。
ロボットアニメには、『鉄腕アトム』や『鉄人28号』、『機動戦士ガンダム』など、現在でも日本人なら誰もが知っている有名作品がありますが、近年の作品となるとどうでしょう?
完結版となる劇場作品が昨年公開されたばかりの『新世紀エヴァンゲリオン』は、元は26年以上も前の1995年に放送された作品です。
それ以降の作品では、アニメ好きであれば、2005年の『交響詩篇エウレカセブン』、2006年の『コードギアス_反逆のルルーシュ』といった作品を、もっと詳しい人なら、2018年の『SSSS.GRIDMAN』を挙げる人がいるかもしれません。
一定の評価を得たと言える作品が、四半世紀でわずかに3作品程しかないという状況です。
2022年放送の作品に絞り、7月放送分までのテレビアニメ149作品中の主なカテゴリ分布を見てみると、
異世界・ファンタジー:31作品
美少女・アイドル:25作品
バトル :15作品
恋愛:13作品
スポーツ:9作品
といった具合で、ロボットものは、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 特別編』と『境界戦機 第二部』の2作品のみ。しかも、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 特別編』は新作ではなく総集編ですから、半年間で新作のロボットアニメがわずか1作品のみというわけです。
ちなみに、現在発表済の予定作品の中では、ロボットアニメは10月放送開始の『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の1作品があるだけです。
かつてはロボットアニメばかりだったというのは言い過ぎですが、それでも1年単位で放送されるロボットアニメが年に数作品はありましたから、年間を通して常に何かしらのロボットアニメが放送されている状態であったのは確かです。
ロボットアニメが比較的多かった印象のある1984年を例に挙げてみると、全39作品中、下記の9作品がロボットアニメとなっていて、次点のコメディ3作品、スポーツ3作品,童話3作品と比べると、カテゴリとしてはダントツに作品数が多くなっています。
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『超攻速ガルビオン』1984年2~6月・全22話
『重戦機エルガイム』1984年2月~1985年2月・全54話
『ビデオ戦士レザリオン』1984年3月~1985年2月・全45話
『巨神ゴーグ』1984年4~ 9月・全26話
『ゴッドマジンガー』1984年4~ 9月・全23話
『超時空騎団サザンクロス』1984年4~ 9月・全23話
『機甲界ガリアン』1984年10月~1985年3月・全25話
『超力ロボ ガラット』1984年10月~1985年4月・全25話
『星銃士ビスマルク』1984年10月~ 1985年9月・全51話
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確かに、この時期と現在の作品数の比較を見ると、ロボットアニメ衰退論が杞憂などではなく、事実であることを認めざるを得なくなります。
次回は、ロボットアニメ衰退の理由について取り上げます。
アニメの未来を考える
ロボットアニメの現在① ロボットアニメの定義 前編
ロボットアニメの現在① ロボットアニメの定義 後編
ロボットアニメの現在② ロボットアニメ衰退論
ロボットアニメの現在③ 衰退の理由 前編
ロボットアニメの現在③ 衰退の理由 中編
ロボットアニメの現在③ 衰退の理由 後編