国民的アニメの施設の有無について調べてみた件 ④ プリキュアの常設施設がない理由 後編

前回に引き続き、『プリキュア』シリーズの常設ミュージアムや常設テーマパークがない理由について考えてみたいと思います。

プリキュアを制作している東映アニメーションのスタジオを区内に持ちながらも、区内にはプリキュアスポットがほとんど存在せず、プリキュア20周年に対しても何のコメントも発表しないような練馬区でも、過去にプリキュアのスポットを作ったことがありました。
練馬区では、2007年から2010年にかけて、区内※1にある20ヵ所の各鉄道駅の改札前付近に、それぞれ関係の深いアニメ作品のイラスト入りのスポット案内板を設置したのですが、『鉄腕アトム』や『銀河鉄道999』などの案内板と並んで『プリキュア』の案内板があるのです。

現在も豊島園駅前に設置されていますが※2、この案内板が設置された当時の2008年に放送された『Yes!プリキュア5GoGo!』のイラストが使われていますが、15年前の作品とあって、本来期待すべきターゲットである子供たちは知らない作品で、もう大人になった当時の女の子たちが懐かしむようなものになってしまっています。
(元々このアニメ案内板に使われているのは、その多くが『一休さん』や『魔法使いサリー』といった昭和時代の古いアニメ作品なので、そもそも子供がターゲットとも言えませんが)

この案内板などは、『プリキュア』のような1年で作品が入れ替わってしまうタイプのシリーズ作品におけるスポット作りの難しさを感じさせる良い例と言えるでしょう。

また、『プリキュア』を作っている東映アニメーション 大泉スタジオの最寄り駅である大泉学園前駅の改札前には、『プリキュア』の垂れ幕があるのですが、こちらの方は、毎年作品が変わるごとに入れ替えられ、常にその年に放送されている作品が掲げられています。

垂れ幕1枚とはいえ、毎年入れ替えるとなると据え置きで済むものに比べれば、はるかにコストがかかります。
ミュージアムやテーマパークで、メインの展示物を毎年入れ替えるとなると尚更で、相当なコストがかかることが予想され、施設運営に手を出し難いというのも理解ができます。

入れ替え制によって作品の新鮮さを保つことができ、時代に流されず飽きさせない作品作りを実現し、20年に及ぶ長寿アニメにまでなった『プリキュア』ですが、その反面、メインキャラやメインビジュアルが固定化していないために、施設やスポット、グッズなどを毎年入れ替え・追加していかなくてはならず、その点が活用のネックになっているのは、何とも皮肉な話と言えるでしょう。


※1『魔法使いサリー』の案内板が設置されている東武練馬駅前は、実際には練馬区ではなく、板橋区徳丸2丁目になります。

※2 『プリキュア』の案内板が設置されていた西武豊島線の豊島園駅は、豊島開業予定の「ワーナーブラサース スタジオツアー東京 メイキング・オブ・ハリー・ポッター」に合わせ、2023年に『ハリー・ポッター』の作中に登場した「ホグズミード駅」をイメージした駅にリニューアル中のため、都営大江戸線の豊島園駅の地下通路に移設されています。


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