国民的アニメの施設の有無について調べてみた件 ③ ポケモンの常設施設がない理由 前編

アニメの未来を考える

前回、前々回と国民的アニメ作品のオフィシャルショップとテーマパーク、ミュージアムについて、神籬が独自に作成し、企業様や学術関係者様などに提供させていただいておりますデータベースを基に、2023年2月時点の状況を改めて調査してまとめてみました。
そこで、取り上げた現在の状況から、作品個別の施設の有無の理由や今後の展開などについて考えてみたいと思います。
まず今回は『ポケットモンスター』シリーズについてです。

ポケットモンスター』シリーズは、昨年アニメ放送25周年を迎え、ゲームを含めるとさらに歴史が長く、現在もアニメ、原作ゲームともに絶大な人気を誇るコンテンツです。
人気度から考えれば『名探偵コナン』や『クレヨンしんちゃん』などに劣らず、それどころか、海外人気をも含めると圧倒的にファン人口が多いにもかかわらず、常設のテーマパーク、ミュージアムがないのは何故でしょうか。

実は、過去に『ポケットモンスター』のテーマパークがありました。
愛知県名古屋市に設けられたポケパーク(正式名称は「Pokémon The Park 2005」)です。
こちらは2005年3月にオープンした後、同年9月の閉園までの185日間で総入場者数約415万人を記録した超人気施設でした。
アトラクションの半数ほどは前年に閉園した大阪府泉佐野市の遊園地りんくうパパラで使われていたものの外装をポケモン仕様にリメイクして流用されたそうですが、当時の映像を見ると、とてもそうとは感じさせない豪華で煌びやかな施設でした。
園内には当時の全ポケモン386種類が配置されていたそうです。

ではなぜそんな人気施設が閉園してしまったのでしょう。
このポケパークがあったのは旧国鉄笹島駅の跡地で、2005年3月から9月に開催された万国博覧会「愛・地球博(愛知万博)」のサテライト会場として整備された「デ・ラ・ファンタジア」と呼ばれるエリアでした。
ポケパークは、同じく「デ・ラ・ファンタジア」内の手塚治虫のCOSMO ZONE THEATERやアートオブスターウォーズ展、恐竜博2005などと共に「愛・地球博」のパビリオンや各種施設の一つとして、期間内のみの契約で建設・運営されていたものだったのです。
従って、契約通り「愛・地球博」が終わると同時に閉園したわけなので、経営問題などが理由ではありません。

ちなみに、「愛・地球博」での役目を終えたポケパークは、翌年に台湾で開催されたのを皮切りに、世界各国で巡回開催されると発表されていました※。


次回は、『ポケットモンスター』シリーズの常設のテーマパークやミュージアムができない理由を考えてみたいと思います。


※台湾での開催を伝える当時の記事では、2006年6~9月の台湾での開催を皮切りに、2010年までの5年間で1年ごとに世界各国・各地域に場所を移して開催される計画で、開催地候補としてアメリカ、欧州、上海などが検討されていたそうですが、2007年以降の展開は情報が得られませんでした。 公式には何の発表もなかった様子で、開催は見送られたのではと思われます。


国民的アニメの施設の有無について調べてみた件①
国民的アニメの施設の有無について調べてみた件②
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