大江戸線延伸構想で夢のアニメラインを妄想してみた件 ② 大江戸線延伸の夢プラン 前編

今のままでは100年経っても実現不可能
前回は、大江戸線延伸構想の必要性や実現性について解説しましたが、かなり厳しいと言わざるを得ません。
低迷する経済状況に、少子化で税収は頭打ち、高騰する建築費などの問題はもちろんのことですが、根本的な問題は採算性です。
要は、どれだけコストがかかっても、それを上回る程の収益があれば良いというわけで、それができないから実現できないと東京都議会での質疑で明確に回答されています。
(参照:令和6年3月18日 東京都議会公営企業委員会速記録

高度経済成長期の幻想のまま、鉄道を引けば地域が発展するというのは、かなり時代錯誤な考えで、東京23区の端っこで鉄道路線を新設しても、経済効果は極めて限定的となるでしょう。
住民の生活向上を訴える声も上がっていますが、鉄道事業は慈善活動ではなくビジネスなので、練馬区の一部地域住民の利便性のためだけに、国や都が、元が取れない1500億円以上のコストを支払うわけがありません。

区民・区議会・区で組織された大江戸線延伸推進期成同盟が発行している「大江戸線延伸ニュース」によると、区内のイベントでパネル展示やグッズの配布などで啓蒙活動をしているとのことですが、的外れな活動のように思われます。
区が基金を110億円積み上げていることもアピールしていますが、これとても何の足しにもなり得ないでしょう。
採算性が問題だとわかっているのに、その問題に向き合わず、基金をいくら積み上げても、住民をいくら啓蒙しても意味がないからです。
ハッキリ言って、問題から目を背けたままの現在の方針を続ける限り、100年経っても大江戸線延伸は実現しないでしょう。

採算性を考慮したドリームプランを考えてみる
そこで、採算性という問題を直視して、希望が持てそうなプランを思考してみたいと思います。
神籬では、これまでもアニメ文化やサブカルチャーを活用したプランをいくつも提案してきていますが、今回も例にもれず、アニメを主軸にしたプランです。

まず、既存の路線を見て、使えそうな要素を探ってみましょう。
都庁前駅から練馬区の光が丘駅までを結ぶ大江戸線の西側路線には、
① 都庁前駅
② 西新宿五丁目駅
③ 中野坂上駅
④ 東中野駅
⑤ 中井駅
⑥ 落合南長崎
⑦ 新江古田駅
⑧ 練馬駅
⑨ 豊島園駅
⑩ 練馬春日町駅
⑪ 光が丘駅

という11駅があります。

まず、中野と言えば中野ブロードウェイが思い浮かびますが、東中野駅からだと約1.8㎞、徒歩25分とかなり遠く、これを組み込むのはさすがに厳しそうですね。
落合南長崎駅は、トキワ荘マンガミュージアムの最寄駅で、こちらはバッチリです。
以前に神籬でも取り上げましたが(「トキワ荘と周辺地域を巡ってきた件」)、このトキワ荘周辺には、トキワ荘マンガステーショントキワ荘通り昭和レトロ館、民間の有料読書施設マンガピットトキワ荘通りお休み処、トキワ荘の住人たちが常連だった中華料理 松葉といったものがあり、ここだけでも充分楽しめるエリアです。

練馬春日町駅には、駅直結の春日町図書館があります。
この図書館をアニメに特化した図書館にリニューアルし、アニメ関連資料やマンガを多く蔵書して、イベントではアニメ関係者による講演やワークショップを実施、さらには館内にガチャガチャコーナーを設けたりしても良さそうです。

西武鉄道の大泉学園駅前には『鉄腕アトム』や『銀河鉄道999』、『あしたのジョー』、『うる星やつら』の銅像が並ぶ大泉アニメゲートがあり、東映アニメーションミュージアムなどもありますが、新しくできる大泉学園町駅(仮)からは2km以上も離れており、アクセスが悪そうです。
さすがに東映アニメーションミュージアムはどうにもなりませんが、大泉アニメゲートの方であれば、新駅へ移設するという手もなくはありません。

距離的な制約も、やり方次第では解消できる可能性があります。
それは、目的地までの道に、一定間隔でキャラクターモニュメントを設置する方法です。
これには、全13体のウルトラ戦士&怪獣のキャラクター像が立ち並ぶ福島県須賀川市の須賀川ウルトラマン通りや、石ノ森章太郎のキャラクター像が30体以上も設置されている宮城県石巻市の石巻マンガロードなどの実例があるのでご存じの方もいるかもしれません。
目的地までの行程を、ただの移動ではなく、楽しみながらモニュメントを巡るアクティブな行動に変えてしまうことができるわけです。
この方法を使えば、距離的な問題があった東映アニメーションミュージアムや、さらに遠い富士見台の旧・虫プロなども、プランに組み込める可能性が出てきそうです。

練馬でアニメ関連イベントを通年開催する
豊島園駅には、ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 メイキング・オブ・ハリー・ポッターがありますが、事前予約制で気軽に行ける施設ではない上、周辺にはハリー・ポッターやアニメ関連のものがほぼないので、ちょっと難しそうです(そもそもアニメではないですし)。
ただし、豊島園駅前にはローソングループのシネマコンプレックスであるユナイテッド・シネマとしまえんがあり、練馬駅前にある練馬文化センター、光が丘駅前にあるIMAホールも映画興行が可能な施設です。
こちらでアニメ映画に特化した興行を行ってもらい、出演声優や監督などの舞台挨拶を行ってはいかがでしょう。

練馬文化センター、IMAホールは公演会場なので、プリキュアショーや2.5次元舞台、声優出演の演劇などもできるでしょう。
これらの施設を使い、練馬区主催の「練馬アニメ映画祭」や「練馬アニメアワード」などを開催したり、コスプレイヤー・オブ・ザ・イヤーアニダンGRAND PRIXなどのコスプレコンテスト、ANIMAX MUSIXAnimelo Summer Liveなどのアニソンイベントのような既存イベントを誘致するのも良いかもしれません。
要は、練馬でアニメ関連の興行が通年行われるようにするのです。

次回は、延伸で新しくできる駅に関するプランについて語りたいと思います。