最近のアニメ化⇔実写化の動きをまとめてみた件 後編 実写作品→アニメ化

前回は、マンガの実写化の注目作品を取り上げましたが、今回はその逆の動きを取り上げてみたいと思います。

実写作品→アニメ化
実写映画のアニメ化の例としては、DCコミックスのスーパーヴィラン・チームをベースにしたハリウッド映画『スーサイド・スクワッド』を日本でテレビアニメ化した『異世界スーサイド・スクワッド』が挙げられます。
ワーナー ブラザース ジャパンの製作で、アニメ制作は『進撃の巨人』や『SPY×FAMILY』で知られるWIT STUDIOが担当しており、2024年7月に放送予定です

J.R.R.トールキンのファンタジー小説『指輪物語』を3部作で実写化した映画『ロード・オブ・ザ・リング』の前日譚を、オリジナルストーリーで描くアニメ映画『THE LORD OF THE RINGS:THE WAR OF THE ROHIRRIM』は、今年12月に公開予定です。
アニメ制作は『ULTRAMAN』や『攻殻機動隊 SAC 2045』で知られる3DCG制作会社のSOLA DIGITAL ARTS。
実写映画3部作を製作したワーナー・ブラザースの製作で、原作小説からのアニメではなく、実写映画の外伝的作品となっています。

6月14日から配信が始まったNetflix映画『Ultraman: Rising』は、『ウルトラマン』のオリジナルアニメです。

こちらは、『スター・ウォーズ』『ジュラシックパーク』のVFXを手掛けたインダストリアル・ライト&マジックが制作した海外アニメ。

この他、厳密には実写化とは異なりますが、今秋には、『機動戦士ガンダム』をオリジナル脚本と実写テイストのフルCGアニメで描いた『機動戦士ガンダム:復讐のレクイエム』が配信されます。

こちらはバンダイナムコフィルムワークスの製作で、アニメ制作は、サンライズとリアルタイムレンダリングによるハイスピード映像制作で評価の高いSAFEHOUSEの共同制作。

実写映画のアニメ化というのは、アメリカでは、『スター・ウォーズ』のアニメシリーズや、シーズン3配信が発表されている『ホワット・イフ…?』などのマーベル・コミック原作の実写映画のアニメ版が盛んに製作されていたりしますが、日本国内ではあまりメジャーではなく、主に海外向けに作られるケースが多い印象です。

これまでにも、POLYGON PICTURESによる3Dアニメ『GODZILLA』シリーズや2023年にNetflixで配信が始まったENGI制作の3Dアニメ『GAMERA -Rebirth-』といった例がありましたが、いずれも海外戦略を意識した作品でした。

今回取り上げた作品も例にもれず、海外の製作作品や海外向け作品となっています。

海外では「ANIME」の通称で大人気コンテンツとなっている日本製アニメに比べ、日本製の実写ドラマ・映画は、海外展開に苦心していることが知られています。
Netflixやワーナーなどの外資系企業が、海外でも知名度の高い日本のアニメ制作会社に制作依頼して実写映画をアニメ化させる動きがある一方で、日本企業の中で、アニメの実写化作品で海外でも競争力を持てる作品を生み出そうとしている様子が伺えます。
「ANIME」という強力なコンテンツを持ちながら、いまだに配信事業ではアメリカと中国の後塵を拝している日本が(原因がコンテンツ力以外のところにあるのが問題ですが)、今後、実写コンテンツなどでも力のある作品を生み出し、配信事業においても競争力を高めていけるようになるのか、注目していきたいところです。

〈了〉


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