最近のアニメ化⇔実写化の動きをまとめてみた件 前編 マンガ→実写化

近年のテレビドラマや映画は、マンガ原作のものが増えており、話題に上る作品のほとんどがマンガ原作だったりする現状をみなさんも感じていることでしょう。
マンガの映像化で言えば、実写ドラマ・映画よりもアニメとの歴史の方が長く、アニメはマンガと共に発展してきた、言わば兄弟のような存在と言えるかもしれません。

最近では、マンガや小説などが映像化されて、実写ドラマ・映画やアニメになるという一方向の動きだけではなく、オリジナルアニメ作品のコミカライズ、ノベライズだったり、実写作品のアニメ化といった双方向や交錯する動きもあります。
今回はそんなアニメ化⇔実写化の最近の動きをまとめてみたいと思います。

マンガ→実写化
まずは、マンガの実写化ですが、記憶に新しいのは今年4月に配信開始した鈴木亮平主演のNetflix映画『シティーハンター』でしょう。
Netflix週間グローバルTOP10(非英語/映画)では初登場1位を記録した他、世界32の国と地域で週間TOP10入りを果たしたとのことで、世界的にも評価は上々の様子です。

Netflixでは、これまでも、『ONE PIECE』、『幽☆遊☆白書』といった日本のマンガ作品を実写ドラマ化してきており、その流れでの日本のマンガ作品の実写化作品と言え、次なる実写化作品にも期待が持てそうです。

今年の1月に公開された『ゴールデンカムイ』も大きな話題となりました。
2024年秋からは続編となるドラマ『連続ドラマW ゴールデンカムイ-北海道刺青囚人争奪編-』が、WOWOWオンラインおよびWOWOWオンデマンドにおいて放送・配信予定とのこと。
ゴールデンカムイ』の実写化は、近年急速に台頭してきた外資系の動画配信サービスに危機感を抱くWOWOWが、競合他社に対抗すべく、『キングダム』を手掛けた制作プロダクションのCREDEUSと組んで世界で勝負できる作品を作ろうと映像化権を獲得した、いわば社運を賭けた企画でした。

CREDEUSは、元WOWOW営業部の映画プロデューサーである松橋真三が代表取締役を務める制作プロダクションです。
松橋真三と言えば、
2009年公開『MW -ムウ-』原作:手塚治虫
2011年公開『パラダイス・キス』原作:矢沢あい
2012年公開『るろうに剣心』原作:和月伸宏
2014年公開『黒執事』原作:枢やな
2016年公開『オオカミ少女と黒王子』原作:八田鮎子
2017年公開『銀魂』原作:空知英秋
2017年公開『斉木楠雄のΨ難』原作:麻生周一
2018年公開『ママレード・ボーイ』原作:吉住渉
2018年公開『銀魂2 掟は破るためにこそある』原作:空知英秋
2019年公開『キングダム』原作:原泰久
2019年公開『町田くんの世界』原作:安藤ゆき
2022年公開『ノイズ』原作:筒井哲也
2022年公開『キングダム2 遥かなる大地へ』原作:原泰久
2022年公開『ブラックナイトパレード』原作:中村光
2023年公開『キングダム 運命の炎』原作:原泰久
2023年公開『沈黙の艦隊』原作:かわぐちかいじ
2024年公開『ゴールデンカムイ』原作:野田サトル
といった具合に、マンガの実写化で多くのヒット作品を生み出しているプロデューサーです。

さらに、
GANTZ』『図書館戦争』『アイアムアヒーロー』『いぬやしき』『BLEACH 死神代行篇』『今際の国のアリス』『キングダム』の佐藤信介監督
HK 変態仮面』『アオイホノオ』『スーパーサラリーマン左江内氏』『銀魂』『斉木楠雄のΨ難』『今日から俺は!!』『ブラックナイトパレード』の福田雄一監督
など、マンガのアニメ化に長けたプレイヤーたちが見えてきます。

CREDEUSの手掛けた作品では、『ゴールデンカムイ』の他に、2023年の映画『沈黙の艦隊』に劇場未公開シーンを加え、劇場版の後のストーリーも描いた完全版となるAmazonオリジナルドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』が、今年2月からPrime Videoで配信されています。

今月末には、手塚治虫の名作『ブラック・ジャック』の実写ドラマがテレビ朝日で放送されます。
ブラック・ジャック』と言えば、1977年の映画では宍戸錠、1981年の連続ドラマでは加山雄三、1996年のビデオドラマ版(全3巻)では隆大介、2000年の単発ドラマでは本木雅弘※1と、様々な俳優が演じていましたが※2、今回のブラック・ジャック役は、先月5月10日に最新話(第9話)が放送されたばかりのNHKドラマ『岸辺露伴は動かない』で岸辺露伴を演じている高橋一生が担当。

https://www.youtube.com/watch?v=jm-z_JL4XTk

今冬に、ドラマシリーズをAmazon Prime Videoにて独占配信、映画を東映配給にて劇場公開予定の『【推しの子】』の実写化は、Amazonと東映の共同プロジェクト。
すでにファンからも賛否両論が出ており、ファンの熱量の高さや、作中でもマンガの実写化に対する問題をあれこれ描いている作品でもあることから、実写化に対してはより厳しい目で見られるのが必至な作品です。
今年の1月に実写映像化決定の際にキャストビジュアルが公開されて以降、続報がないこともあって、判断材料に乏しく、不安視する声を払拭できない状況となっています。

<追加情報>
長らく続報がなかった『【推しの子】』の実写化ですが、6月20日に情報解禁となり、ドラマシリーズがPrime Videoにて11月28日より世界独占配信され、その続きとなる映画を東映配給にて12月20日より全国公開することが発表されました。
併せて特報映像も配信。


2022年に前後編2部作で公開された『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の錬成』や、2023年に公開された東映アニメーション100%出資の実写映画『聖闘士星矢 The Beginning』など、興行的に厳しい結果となった先例の仲間入りしないよう、頑張っていただきたいところです。

先週製作発表が行われた、永野芽郁・佐藤健主演の映画『はたらく細胞』も、マンガの実写化です。
翔んで埼玉』や『テルマエ・ロマエ』を手掛け、アニメの実写化でヒットを飛ばしている武内英樹監督による作品で、PVでの佐藤健演じる白血球(好中球)の『るろうに剣心』ばりのアクションシーンが早くも話題となっており、期待が持てそうな作品です。

次回に続く。

〈了〉


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※1 本木雅弘版のドラマ『ブラック・ジャック』は、2000年3月に放送された2時間枠のスペシャルドラマでしたが、好評だったことから、9月に第2弾『ブラック・ジャックII』が放送され、1年後の2001年9月には第3弾となる『ブラック・ジャックIII』が放送されました。

※2 2011年には日本テレビで、ブラック・ジャックになる前の間時生を描いた岡田将生主演の単発ドラマ『ヤング ブラック・ジャック』が放送されたこともありました。