「アニメプロジェクトin大泉2023」に行って来た件 前編

昨日5月28日に練馬区の大泉で開催された「アニメプロジェクトin 大泉2023」を見に行ってきましたので、レポート的にイベントの様子をご紹介したいと思います。
新型コロナウイルス感染症の影響で開催中止を余儀なくされていたため、4年ぶりの開催となったこのイベントは、大泉以外の練馬区民にはご存じのない方もいるくらいですが、実は2002年から開催されていて、今年で18回目となる息の長い地元のお祭りです。

2002年に「アニメフェスティバル in 大泉」の名前で開催されたのが最初で、「ねりたんアニメカーニバル」、「ねりたんアニメプロジェクトin大泉」と改名されながら2010年に現在の名称になり続いています。
かつては、大泉に住んでいた松本零士がゲスト参加したり、アニメ監督や有名コスプレイヤーが招かれたり、東映アニメーションや虫プロや大泉にあったアニメショップ※なども出店する「アニメ我楽多市」など、アニメをメインテーマに据えたイベントでした。

今年の「アニメプロジェクトin 大泉2023」イベントプログラムは下記の通りです。
赤文字がアニメ関連のものになります。


<大泉小学校>
[常設]
・松本零士追悼コーナー(パネル展示、銀河鉄道999ジオラマ)
・NHK連続テレビ小説「らんまん展」
・仮面ライダー展示(BLACK SUNのバイク、フィギュア、フォトスポット)
・体験型デジタルアート
・NHK首都圏局(『らんまん』オリジナルしおり作成)
・牧野博士のふるさと 高知県ブース
[ステージイベント]
・コスプレパフォーマンス(日芸 コスプレ研究会COMPLEX)
・商店会PR動画発表会
・カラオケ戦隊声優ジャー 出張ミニライブ&トークショー(前田玲奈、青木志貴)

<大泉図書館>
・アニメ映画上映会(『長靴をはいた猫』定員25名)
・東映株式会社 執行役員 東京撮影所長 木次谷良助氏講演会(定員35名)
・オリジナル缶バッヂ工作体験(各30分全5回)

<大泉風致地区公園>
[常設]
・ふれあい動物園
[ステージイベント]
・ねり丸グリーティング
・キュアスカイ撮影会&ひろがるスカイ!プリキュアショー
・フラダンスショー
・三四郎のサックス演奏
・アニソンショー(愛甲ミカ、星羅)
・王様戦隊キングオージャーショー

<妙延寺>
・キッズダンス
・でぃっぷ1ぐらんぷり(グルメコンテスト)
・アニソンショー(Smiley B)
・王様戦隊キングオージャーショー
・ねり丸グリーティング
・手洗いソング
・キュアスカイ撮影会&ひろがるスカイ!プリキュアショー

<東映アニメーションミュージアム>
・プリキュアグリーティング(11時、13時、15時の3回)


会場は大泉小学校大泉図書館大泉風致地区公園妙延寺東映アニメーションミュージアムの5ヵ所です。
当日は、この5ヵ所に大泉学園駅前の「大泉アニメゲート」を合わせた6カ所でスタンプラリーを実施していました。

まず向かったのは大泉図書館です。
ここでは午前に『長靴をはいた猫』の上映会と、午後に東京撮影所長の講演会が1回ずつ行われるとのことですが、定員が少数なこともあって随分早くに満員となってしまっており、当日に訪れても缶バッヂ工作体験しか行われていませんでした。

気になったのは、アニメイベントなのに、東映アニメーションの関係者ではなく、アニメとは関係のない東映撮影所の所長の講演という点です。
「映画・撮影よもやま話」と題されていますが、プロフィールを調べてみると、2022年に公開されたアニメ制作をテーマにした映画『ハケンアニメ!』のプロダクション統括を担当されているので、その辺りからの登壇依頼でしょうか。

図書館では、イベント実施中との看板は置かれているものの、イベント会場とは思えぬ静けさで、図書館の通常運営という印象でした。
ここで、まずはプログラムが書かれたチラシをここで入手しようとしていたのですが、驚いたことに図書館ではチラシがないとのこと。イベント会場の一つなのにプログラムの紙も置いていないとは、なかなかに不安なスタートです。

次に訪れたのは大泉小学校です。
グラウンドに設置されたテントで、『仮面ライダーBLACK SUN』のバイク(バトルホッパー、ロードセクター)と仮面ライダーのフィギュアが展示されていました。
現在放送中の『仮面ライダーギーツ』のフォトスポットパネルもありました。

校舎側では、「体験型デジタルアート」のコーナーがありました。
クレヨンなどで描いた絵をパソコンに取り込んでプロジェクターで表示してくれるというもので、参加者は全員幼少の子供たちでしたので、中の様子を見て説明を聞いただけで、空気を読んで参加まではせずに退散です。

その他にあったのは、NHK首都圏局と高知県のブースです。
NHK首都圏局のブースでは、連続テレビ小説『まんたん』推しで植物を使ったオリジナルしおり作りが行われていました。

高知県のブースは、練馬区と並んでNHK連続テレビ小説『まんたん』の舞台になっている関係での出店のようです。
『まんたん』関連の物産販売と「まんが甲子園」のコーナーが半々になっていて、高知県育ちのやなせたかしと、高知とは直接関係ないものの、「全国漫画家大会議 in まんが王国・土佐」に出演したさいとう・たかをと浦沢直樹のサインも飾られています。
展示と共に、TwitterフォローかYouTubeチャンネル登録で景品をプレゼントするキャンペーンと、2人で絵を描いて互いに何を描いたのかを当てる「お絵かきチャレンジ」が行われていました。
ブースの方に、アニメや練馬区との繋がりをお伺いしたところ、特にアニメとも練馬区とも関係がなく、高知県と練馬区で何か取り組みがあるわけでもないとのことです。
単に『らんまん』繋がりで高知県としてブースが出されるので、この場を借りて「まんが甲子園」のアピールをさせてもらっているとのことでした。

体育館では、日本大学芸術学部コスプレ研究会COMPLEXによるコスプレパフォーマンスや、地元高校生による商店会PR動画発表会が行われていました。

コスプレはアニメやマンガ、オリジナル衣装など様々なものの混合のようです。

同じ体育館内には、今年2月に亡くなった松本零士のコーナーがありました。
展示内容は、999車内の実物大ジオラマに、メガロポリスのジオラマ、999の前部分の模型、松本零士やアニメゲートの銅像の写真、『銀河鉄道999』のポスターなどのパネル展示があり、6月3日に東京国際フォーラムでのお別れ会に飾られるという垂れ幕にメッセージを書けるコーナーもありました。

ようやくアニメらしい展示物が、と思いましたが、松本零士自体はマンガ家であって厳密に言えばアニメの範疇というよりはマンガジャンルと言えるでしょう。
松本零士がアニメ制作に関わったのは『宇宙戦艦ヤマト』ですが、展示は『銀河鉄道999』のみです(『宇宙戦艦ヤマト』は権利関係のゴタゴタがあるのでタブーなのでしょうか)。
まだしも、『銀河鉄道999』のアニメ映像をモニターで流すとかしてくれれば、アニメの展示っぽくなるのですが、上記の展示ではアニメ要素は見られません。

アニメを冠するイベントでありながら、ここまで見てもアニメ要素が少ないのが気になるところですが、次回に続きます。


神籬では、アニメの文化振興や関連事業への協力の他、アニメを活用した自治体や企業へのサービス・イベント・事業などの企画立案など様々な活動を行っています。
ご興味のある方は、問い合わせフォームから是非ご連絡下さい。
アニメ業界・歴史・作品・声優等の情報提供、およびアニメに関するコラムも 様々な切り口、テーマにて執筆が可能です。こちらもお気軽にお問合せ下さい。