「アニメプロジェクトin大泉2023」に行って来た件 後編

前回に引き続き、5月28日に練馬区の大泉で開催された「アニメプロジェクトin 大泉2023」の内容をご紹介していきたいと思います。

会場の一つである大泉小学校の展示は下記の通りです。

大泉小学校での展示で一番人だかりが多かったのは体育館内の「らんまん展」で、牧野富太郎の実家の造り酒屋「峰屋」のセットが再現されており、それをバックにテレビカメラで撮影してモニターで映してくれてドラマに出演した気分が味わえるコーナーや、主演の神木隆之介と浜田美波の等身大パネル、ドラマの紹介パネル、ドラマで実際に使用した植物レプリカなどが所狭しと飾られていました。

NHK連続テレビ小説『まんたん』の人気もあって、イベントでも一押しのようで、小学校会場内には、NHK首都圏局のブース、高知県のブース、牧野記念庭園の案内ブースなど、多くの展示が見られました。
スタンプラリーのポイントの一つとなっている大泉アニメゲートでも、イベントのチラシではなく、代わりに牧野記念庭園周辺ガイドマップを配布していたくらいで、『まんたん』&牧野富太郎が、このイベントの主役といってもいいくらいの位置づけとなっていました。

体育館内の「らんまん展」の方に、「これってアニメと何か関連があるのですか?」とちょっと意地悪な質問を投げかけてみたところ、「関係はありません」とバッサリ。「大泉の祭りなので、大泉と縁が深い牧野富太郎の展示をしています」とのことで、そう堂々と答えられると何も言えません。

会場となっている大泉風致地区公園大泉小学校は、2.4kmも離れていて歩いて行ったら30分以上はかかる距離です。その他の各会場間の距離も概ね徒歩10分以上かかるので、全部を歩いて回るとなると、移動だけで1時間はかかり、いろんなものを見て回ろうと思う人にとっては、肉体的になかなかハードなイベントです。
そのこともあって、無料の巡回バスが運行されているのですが、1時間に3台ペースなので、かなり緻密に計算して移動しないと時間開催のステージなどは間に合わず、時間的にもハードな印象を受けます。
(チラシに記載の地図では、公園は遠過ぎて別枠で示されていて、同じ地図上に記載できていない有様です)

イベント会場となっている妙延寺大泉風致地区公園は、ステージをメインとして周囲に飲食や物販の屋台が並ぶ構成となっており、物販などが少ない他の会場に比べ、各段に込み合っていました。

こちらは妙延寺の門前です。門の中は屋台と人込みでなかなか前に進めない程でした。
大泉風致地区公園も同様でしたが、圧巻は「ひろがるスカイ!プリキュアショー」(写真の公開不可)です。
開催前だというのに公園を埋め尽くす程の群衆で、後列のお父さんたちがみんなお子さんを肩車しています。
後から来た人たちは、筆者も含め、肩車された女の子たちの壁で全くステージが見えません。

戦いの場面では、応援する女の子たちの必至の声が響き、ステージに夢中の女の子たちの表情が印象的です。

同じステージで行われた王様戦隊キングオージャーショーの方の客層は、男の子たちと大人たちの半々くらい。
こちらは時間に遅れて訪れたものの余裕でステージが見られる程で、比較すると、プリキュア人気がいかに凄いかがよくわかります。

大泉風致地区公園では、郵便局がブースを出していて、アニメ切手を販売していましたが、作品を見てみると、スタジオ地図、『ゆるキャン』、『ベルサイユのばら』、『結城友奈は勇者である』、『THE IDOLM@STER シンデレラガールズ』、『その着せ替え人形は恋をする』、『うたわれるもの』、『Di Gi Charat 24周年アニバーサリー』、『ヘブンバーンズレッド』、『CUE!』、『リトルバスターズ!』というラインナップ。

見事に練馬区が舞台の作品や練馬区の制作会社の作品がありません。
唯一関係がありそうなのは、練馬に本社があるブロッコリーの『Di Gi Charat 24周年アニバーサリー』くらいでしょうか。
客層がアニメファンではなく地元の一般ご家族たちであるからか、ブースは閑古鳥で、店員も手持無沙汰な様子でしたので、こちらでも「こちらの作品で練馬が舞台だったり、練馬にあるアニメ制作会社で作っていたり、なにか練馬に関係のあるアニメはありますか?」と意地悪な質問をしてみました。
答えは、「練馬に関係ある作品はないですね」とのことで、申し訳なさそうに「練馬に関係のあるアニメは作らせてもらえていないので仕方がないです」とおっしゃっていたので、心が痛み、つまらない質問をして申し訳ないと謝罪して退散してきました。


総括してみると、イベントのメインビジュアルがやや青年向けのアニメのような印象でありながら、イベントの実態は子供向けで家族と一緒に楽しめる縁日といった印象です。
また、アニメと銘打ったイベントながら、今回に関してはアニメ要素が少なく、取り上げているアニメも、現在の主流である大人向けアニメは皆無で、子供向けアニメのみ。

以前は有名コスプレイヤーも招いたことがあるようですが、今回は大学生のコスプレ研究会ですし、アニソンライブも有名アニソン歌手などが出演するものではないので、区外の人も訪れるようなイベントというよりは、地元の町民が楽しむ小さなお祭りの域は出ないのでは、との感想です。

唯一、区外からのお客なのか、毛色の異なる大人の男性客たちが湧いていたのは、声優の前田玲奈、青木志貴出演による「カラオケ戦隊声優ジャー 出張ミニライブ&トークショー」です(こちらは撮影不可)。
いわゆる声優オタクたちがメッセージボードを掲げて声援を送る姿が見られ、このステージだけ客層が異なる様子でした(席も満員で立ち見客もいた程)。

昭和的なアニメ=子供向けの作品という発想なのか、他地域から客を招くというよりは地元住民が家族で楽しむことを目的としているものなのか、豊島区などで展開しているアニメ、マンガによる地域復興施策とは全くターゲット層や目的が異なるイベントのようで、同じ基準で比較したり語るべきものではないように思われました。


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