花澤香菜の出演作品数が半端ない件
現在放送中のアニメでは、花澤香菜がメインキャラを演じる作品がかなり多いように思われたので、以下に出演作品をまとめてみました。
『うる星やつら』ラン(準レギュラーキャラ)
『陰の実力者になりたくて!』アレクシア(準レギュラーキャラ)
『ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん』小林詩帆乃(レギュラーキャラ)
『久保さんは僕を許さない』久保渚咲(ヒロインキャラ)
『真・進化の実 知らないうちに勝ち組人生』サリア(メインヒロインキャラ)
『魔術士オーフェンはぐれ旅 アーバンラマ編』エリス(第1~2話ゲストキャラ)
制作時期と放送時期が必ずしも一致しないケースもあったりするので、一概には言えませんが、今期(2023年冬アニメ)は花澤香菜の出演が目立ちます。
高橋李依も今期は『トモちゃんは女の子!』で主人公、『大雪海のカイナ』でヒロイン、『シュガーアップル・フェアリーテイル』と『HIGH CARD』でそれぞれメインキャラ、準レギュラーを演じていますし、他にも作品数だけ見ると花澤香菜よりも多く出演している声優もいますが、出番の多さを考慮すると、今期の花澤香菜の露出度は特に多いようです。
80~90年代頃には、まだ声優人口も少なく、ラジオやその他の仕事も今程多くはなかった時代では、人気声優が複数作品でレギュラー出演するケースもありましたが、現在では声優人口も1万人を超える程で、声優のお仕事もラジオや音楽活動、グラビアなど多岐にわたり広がっている中で、同シーズン内のほとんど出ずっぱりの役である主役やヒロイン役で何作品も出演するというのは、かなり異例と言えます。
花澤香菜は、1月から放送が始まったフジテレビのお昼の新番組「ぽかぽか」に火曜レギュラー出演していますから尚更でしょう。
30分のテレビアニメ番組1話分の収録は、通常では、その回の出演者をスタジオに集め、最低でも3時間以上かけて行われます。
自分の出番の多い少ないに関わらず、出演者全員が収録の開始から終了までスタジオに詰め、自分の出番が終わったからと言って帰るようなことはなく、その日の予定分の収録が全部終わるまで居続け、「ガヤ」と呼ばれる群衆や通行人の声などのエキストラ役がある場合には、その場にいる全員で参加したりもします。
収録時間は最低でも3時間ですが、4~5時間かかることも多いため、通常であれば1日1作品、どんなに無理をしても1日2作品の収録が限度で、出演者全員が他作品の収録日と重ならないようスケジュールを調整する必要があったりと、週間アニメで何作品もレギュラー出演するというのは、物理的な理由で実現できない事情があるのです。
ところが、コロナ渦に入り、この伝統的な収録スタイルは感染対策のために変更を余儀なくされ、一人ずつの収録スタイルに変わってしまいました。
そのため、出演者同士の掛け合いやアドリブなども制限され、新人声優が先輩声優から学ぶ機会もなくなり、声優業界ではこれに危機感を覚える声も聞かれるようになっています。
事の良し悪しは別として、この一人ずつの収録スタイルでは、自分の出番だけスタジオで収録して帰ることができるため、以前に比べて一人ずつの拘束時間が各段に短くなりました。
その結果、以前の全員収録のスタイルでは、スケジュールの問題で出演を断るはずの作品であっても、拘束時間が短いおかげで引き受けることが可能となり、そうなれば出演を依頼する側も人気声優を出演させたいということから、ベテランの人気声優に出演オファーが集中するという現象が起こるわけです。
昨年あたりから、声優業界では上記のような現象が起こっているとの話がちらほら出てきていたのですが、今期のアニメにおける花澤香菜の出演集中を見て、ほんの一例に過ぎないものの、改めてこの現象を実感できた思いがします。
結果として、新人声優にチャンスが回らなかったり、先輩声優からの学びの場の喪失による育成の問題などもあって、これが数年後の声優業界へどのような影響をもたらすのか、非情に気になるところです。
これまでであれば、新人であっても、共演する先輩声優たちのフォローで成長していく期待値を見越して抜擢することもあったはずですが、それが期待できないとなると、新人を採用し難くなる状況も推察されます。筆者の肌感的にも、新人声優の主役デビューの作品数が、ここ数年でかなり減っているように見えるので、推察通りの状況が現実的に起こっているということなのでしょう。
声優人気の一般化やコロナ渦の影響などによって、ここ数年間で声優業界の在り方が急速に変化してきているようなので、今後のさらなる動向に注目していきたいと思います。