マクロスの実物大バルキリーと東京ソラマチを見て来た件 ②

前回に引き続き、東京スカイツリータウンソラマチ8階の千葉工業大学スカイツリータウンキャンパス AreaII(惑星探査ゾーン)に常設展示されている、『マクロスF』の実物大バルキリー「VF-25Fガウォーク形態」をレポート形式でお伝えします。

VF-25Fの初見の印象は、「思った程大きくないな」というものでした。
VF-25の機体サイズを確認すると、ロボット型のバトロイド形態時で全高14.53m、戦闘機型のファイター形態時で全長18.72mとのこと。
ガウォークはその中間形態なので、全高11mくらいでしょうか。と言っても、そのほとんどが足の長さなので、上半身だけだと、2mちょっとくらいしかないようです。
公式サイトによると展示物のサイズは、全長約9m×全幅約8mと記載されています。

写真ではサイズ感が伝わり難いですが、先月横浜で「動くガンダム」を見て来たばかりということもあって、当初の予想よりも大分小さく感じました。
本物の戦闘機を間近で見たことがある人は、一回りくらい小さいと感じるかもしれません。特に機首がかなり細い印象です。初代のVF-1シリーズに比べ、VF-25Fは機首がより細くデザインされている機体であることもあって、太さが1~1.5m程しかなく、地面に置いたら大人の身長より低くなります。

以前のみらいチューブでの展示の際には、開けた場所で全体がよく見える上に側面にも回れたため、大きさがより実感できる展示となっていましたが、ここでは正面しか見られない上、フェンスなどの遮蔽物によって隠れてしまっている部分が多くて全体感がつかみにくい構造となっており、機首部分の細さのみが強調されてしまっているようです。
上半身しかないことを感じさせないように、デッキでのメンテナンス中という設定でディテールを追加してリアルさを出す演出意図はわかりますが、それによって大きさというこの機体の最大の特性を打ち消す効果を与えてしまっている点は少しもったいないように感じます。

案内係の方に聞いたところ、設置工事はかなり大変だったとのことで、イベントなどでの貸し出しなど、ここ以外で展示は現実的ではなく、今後もないだろうとのお話でした。

両側の柱には、『マクロスF』の総監督・メカデザイナーの河森正治や、今回の展示のアートディレクターを務めた天神英貴の直筆イラスト&サインがあります。
天神英貴は、ハセガワのマクロスプラモデルの箱絵(ボックスアート)を描いていたイラストレーターで、ガンプラなども手掛けているので知る人ぞ知るという人物です。

柱に貼られている説明には、展示と共に『マクロスF』の総監督・メカデザイナーの河森正治と千葉工業大学(Chiba Institute of Technology)の未来ロボット技術研究センターがタッグを組んで今までにないロボットを開発する「マクロス feat. CITプロジェクト」を発動したと書かれていますが、初耳です。
「テーマはもちろん、変形し、乗れるロボット。そう、バルキリーの「機能美」に負けないインパクトのあるリアルメカ、すなわち「デカルチャー」なマシンを研究開発します。」と宣言が書かれてありました。

2014年2月からということは、すでにプロジェクト始動から8年半以上が経過していることになります。
ん? たしか横浜の「動くガンダム」は2014年にプロジェクトが始動して、5年で実現したと謳っていたはず。調べてみたところ、プロジェクト始動の年こそ一緒ですが、「動くガンダム」のプロジェクト「ガンダムGLOBAL CHALLENGE」のチーム内に千葉工業大学の名前は見られません。
プロジェクトリーダーに早稲田大学名誉教授の橋本周司氏と中京大学工学部教授ピトヨ ハルトノ氏の御二人、一般公募で選出されたメンバー内には、奈良先端科学技術大学院大学の学生や東京大学大学院情報理工学系研究科の教授などの名前もありますが、やっぱり千葉工業大学の名前はなく、「動くガンダム」にはノータッチの様子。

ちなみに未来ロボット技術研究センターで開発されているロボットを見てみると、ヒューマノイド型のロボットは10年以上前のmorph3から新しいものが見られず、搭乗型の変形ロボット「RideRoid(ライドロイド)」シリーズや、車イス型 パーソナル モビリティの開発の方が主流になっている様子。
一応ロボットと謳ってはいるものの、手足や駆動系の要素がないと一般的にはロボットという認識にはならず、ロボットと言うよりは、バイクや自動車などの乗り物といった方がしっくりくる感じです。

RideRoidシリーズ最新機「CanguRo」

「変形し、乗れるロボット」という部分では合致するものの、バルキリーのイメージとはかなり乖離した感じで、これが「マクロス feat. CITプロジェクト」なのかも不明です。
「マクロス feat. CITプロジェクト」自体を調べても何も出て来ないので、プロジェクトが現在も進行しているものなのかについても怪しいところのようです。

案内係の方に聞いてみても、マクロス関連のプロジェクトは何も動いてはいない様子で、今後のマクロス関連の企画や開発等も含め、何も情報がないとのことでした。
ただし、この施設は今後も運営が続き、VF-25Fも期間の定めなく常設を続ける予定とのことなので、いつ行っても見られる、しかも無料という点では、「動くガンダム」よりもファンにとっては優しいのかもしれません。

VF-25Fが展示されているAreaII(惑星探査ゾーン)には、人工衛星の模型や隕鉄(鉄隕石)を鍛えて作った「天鉄刀」なども展示されているので、こちらも注目どころです。
特に隕鉄製の日本刀は、まさにリアル斬鉄剣で、榎本武揚の流星刀をも思わせ、日本刀好きにはとても興味深い展示でしょう。

次回は東京ソラマチについてお伝えします。