コスプレにおける銃刀法適用について考えてみた件③ 取り締まり対象について

アニメの未来を考える

前回、前々回と、銃刀法で携帯がNGとされる刀剣類、模造刀剣類などについて取り上げましたが、これはあくまで銃刀法に限ったことで、銃刀法で適用されなくとも、軽犯罪法が適用されるケースもあるので注意が必要です。
軽犯罪法では、該当する者はこれを拘留又は科料(凶器携帯の罪)に処するとした上で、第一条の二に、下記のように定められています。

正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者(第1条の2)

つまり、刀剣類、模造刀剣類かどうかということ以前に「人を傷つける可能性があるもの」というかなり曖昧で人によって見解に差が出そうな定義で取り締まり対象となってしまうため、警察官の見解次第では、どんなものでも取り締まわれてしまう可能性がありそうに思われます。

日本刀のような刃渡りを持つマグロ解体用の長い包丁を持っていても、仕事で使うために持ち運んでいるならOK、100均のカッターナイフでも理由なく鞄に入っていただけでNGとなるわけです。
「正当な理由」というのも曖昧な表現ですが、上述のカッターナイフでも、鉛筆を削るためだと一言答えればOKとなるケースもあるので、釘バットのような物凄く危なそうな武器であっても、コスプレで使います、と言って公然と担いでいればOKなのかはちょっと見解が分かれるかもしれません(さすがに釘バットを担いで歩いていて警察官が取り締まらないわけはないと思いますが、法律の規定上では、堂々と持ち歩いていた場合には凶器携帯の罪は成立しないことになっています)。

コスプレ会場に向かう途中で職務質問に遭ったとして、コスプレに理解のある警察官相手かどうかでも結果が異なってくるものなのか、どうにも難しいところですが、コスプレ目的であっても、警察署や各関係管理団体に届け出がされているイベントへの参加か、あるいは個人的な撮影目的でスタジオや公園などに行くのかでも判断が変わりそうに思われます。

町おこしや地域活性化の施策で、コスプレイベントを実施することも多いようですが、こうした法的な問題をクリアしておかないと、警察沙汰になったりして逆に地域の印象を落としてしまう結果を招く可能性もあるので、事前に注意事項の周知や、参加条件に金属製の刀剣類を使用しないことや、コスプレ姿で会場外へ出ること(あるいはコスプレ姿のまま会場に来ること)旨の同意書に署名させたり、会場へ来る途中で警察官に職質にあった際にもコスプレイベントへの参加登録書(参加登録のメールなど)を持っていれば回避できるようにするなど、運営側の配慮や対処が必要でしょう。


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