コスプレにおける銃刀法適用について考えてみた件② 模造刀は大丈夫なのか?

前回は銃刀法で定めている刀剣類模造刀剣類の定義や取り扱いについて取り上げましたが、一般に「模造刀」と呼ばれているものには、銃刀法で言うところの「模造刀剣類」や「模造刀」の他、「模擬刀」、「居合刀」、「美術刀」などいろんな呼び方があって紛らわしいので、その定義を以下にまとめてみます。
 
模造刀剣類:刀剣類の形状をした金属製のものの内、刃が付けられていないもの
模造刀:金属製や木製など様々な素材で作られた刃のない刀
模擬刀:模造刀のうち、武道の稽古や演武などで使われる金属製(重さを本物と同じにするため)の刀
居合刀:模造刀のうち、居合道の稽古や演武で使われる金属製の刀
美術刀:模造刀のうち、観賞を目的に作られた刀
※模擬刀については、模造刀とは別物と解釈されている方々もいるようです。
 
銃刀法で言うところの模造刀剣類模造刀とはイコールではないので、金属製でないものも一般的には「模造刀」と呼称されるわけです。
コスプレ用のアイテムとして「模造刀」の名称で売られているものの多くは、軽い方が扱いやすいこともあって、実は木製のものが主流です。いわゆる竹光であって、銃刀法上での模造刀剣類には該当しないので、帯刀も問題ないのです。
ただし、重い方が本物気分を味わえるということもあって、真鍮や亜鉛、アルミニウムなどの合金製で作られているものも多く、金属製の模擬刀が「模造刀」として売られている場合や、軍刀や指揮刀、儀礼刀などの刃を潰したものが「模造刀」と称して販売されているケースもあるので、コスプレ目的で購入する際には、必ず材質を確認してから購入することをお勧めします。
要は、厚紙などを使って自作したようなものは勿論、一般販売されている模造刀でも、素材が木製のものであれば、持ち歩いて大丈夫というわけです。
 
ちなみに、カルシウムは金属なので、『チェンソーマン』に出て来た田中脊髄剣のように骨を材質にした剣は、アウトになる可能性もあるので注意が必要かもしれませんね。

改造銃と同じく境界は曖昧なものの、たとえ金属製でなくとも、人を殺傷する性能があると判断された時点で取り締まりの対象となるので、リアルさを求めて強化プラスチックや硬質性の素材を使い、性能を高め過ぎると問題が発生する可能性がでてきます。
自作する場合は、あくまで見た目だけにこだわる方向性で臨んだ方が良さそうです。

ただし、銃刀法で問題がなかったとしても、閑静な住宅街のようなコスプレ会場以外の場所で、コスプレ姿で帯刀している人が歩いていたら、間違いなく通報されてしまいます。
それは撮り鉄が立入切禁止エリアに入って電車を撮影するのと同等レベルの行為として世間から批判される可能性があるでしょう。
それは法律の問題というよりはマナーとかの範疇ですが、これを守らないと、コスプレ文化全体の世間の評価を下げることになるので、注意していただきたいと思います。

次回に続く。