コスプレにおける銃刀法適用について考えてみた件① 銃刀法における刀の定義
『鬼滅の刃』ブームもあって、巷には竈門炭治郎をはじめとする鬼殺隊のコスプレをする人が増えましたが、鬼殺隊の隊員には、日本刀(日輪刀)が必須アイテムなので、結果的にたくさんのコスプレイヤーが日本刀を帯刀することになったわけです。
当然ながらコスプレのアイテムとしての日本刀は本物ではなく模造刀であるわけですが、カッターナイフやペーパーナイフですら銃刀法で取り締まわれてしまうというのに、本物でなければ大丈夫という理屈がまかり通るものか、甚だ疑問があるところです。
そこで今回は、各方面をざっくりいろいろ調べてみて、ちょっとコスプレにおける銃刀法の適用について考えてみたいと思います。
「銃砲刀剣類所持等取締法」
これを略して一般的に「銃刀法」と呼称していますが、要は、拳銃や猟銃などの銃砲類と、日本刀や薙刀などの刀剣類を取り締まる法律ということです。
銃刀法における刀剣類の定義は下記の通り。
・刃渡り15cm以上の刀・槍・薙刀
・刃渡り5.5cm以上の剣・匕首
・45度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフ
これらを無許可で所持していたら、「刀剣類所持罪」になるというわけです。
届け出をして所持が許されていても、業務などの正当な理由なく携帯していたら「刀剣類携帯罪」に問われます。
では、模造刀はどうかと言うと、第22条に模造刀剣類の携帯の禁止が定められており、こちらも同じく正当な理由なく携帯していた場合には、「模造刀剣類携帯罪」という罪に問われます。
したがって、思考の観点で言えば、刀剣類、模造刀剣類は携帯NGなので、コスプレで使用可能なものは「刀でも模造刀でもないもの」ということになり、そこを探る必要があるわけです。
刀とは何か?
実は刀の定義については銃刀法では明文化されていません。
明文化することで、絶妙に規定を外した「脱法刀」とでも言うべきものを作り出す輩も出てくるので、法の隙間を狙うようなことをさせないために、敢えて明文化をしていないのかもしれません。
社会通念的に考えれば、いわゆる日本刀、太刀、脇差、軍刀、匕首、忍刀などから、海外のサーベル、シャムシールなどを含む片刃の武器というところでしょうか。
次に、模造刀についてみてみると、銃刀法では、「金属で作られ、かつ、刀剣類に著しく類似する形態を有する物で内閣府令で定めるもの」を模造刀剣類の定義としています。
なるほど、だんだんわかってきました。刀という形態ではなく、材質が問われるようです。
(「内閣府令で定めるもの」というのは、上記の①~③のこと)
刀剣類と模造刀剣類の境界は、銃刀法内では明文化はされていないものの、社会通念上、刃がついているかどうかということになろうかと推察できます。
要は殺傷能力があるかどうかという観点かと思われますが。刀は斬るだけでなく刺すこともできるはず。
刃がなくとも金属製で切っ先が鋭利であれば、刺殺することができます。そこが模造刀の携帯が禁止されている所以というわけなのでしょう。
次回に続く。