ワールドカップとサッカーアニメの関係について調べてみた件

アニメの解説書

今年は、4~9月に『アオアシ』、7~9月に『シュート!Goal to the Future』、10月から『ブルーロック』と例年になくサッカーアニメの放送本数が多く、普段サッカーを見ない筆者はサッカーブームが再熱しているのかと思っていたら、11月中旬あたりからワールドカップ開催がメディアでも取り上げられるようになって初めて合点がいきました。

なるほどワールドカップがあるからサッカーアニメが多かったわけですが、だとすれば、気が付かなかっただけで、過去にも同じようにワールドカップ開催年に合わせてサッカーアニメが放送されていたのかもしれないと、アニメのデータベースからサッカーアニメのみを抜き出してみました。
その結果が下記のリストになります(サッカーをメインのした内容のテレビアニメのみを抽出)。

この表を見ると、完全に相関関係にあるとまでは言えないものの、第13回以降は、1回置きの大会開催年に合わせてサッカーアニメが放送されているように思われます。
しかも、日本初のサッカーアニメと思われる『赤き血のイレブン』が、第9回大会と同じ年に放送されていたのは知りませんでした。
ただし、当時は『巨人の星』のヒット以降、『タイガーマスク』『アタックNO.1』『男どアホウ!甲子園』『キックの鬼』などスポーツアニメが乱立した時期だったので、ワールドカップとの関連性は単なる偶然のようにも思われますが(日本も出場していませんし)。

ちなみに1979年の『あしたの勇者たち』は、日本で開催された1979 FIFAワールドユース選手権に合わせて製作された特番アニメで、日本ユース代表選手を描いた作品でした。

1986年の『がんばれ!キッカーズ』も第13回大会と同じ年に放送されていますが、こちらは全日本少年サッカー大会の10周年を記念して、当時『キャプテン翼』に次ぐ人気サッカーマンガだったこの作品がアニメ化されることになったそうなので、ワールドカップとは関係がなさそうです。

Jリーグが始まったのが1993年で、日本がワールドカップに初出場したのは1998年の第16回大会とのことで、その前の第15回大会では、今でもサッカーファンの間では語り草になっているアジア地区最終予選で確定的とも思われていた本選出場権を逃した「ドーハの悲劇」で日本中が湧いていたことを考えると、1991~1993年にサッカーアニメが集中しているのはJリーグ開幕の影響と思われ、ワールドカップの影響は第15回大会以降に現れていることが推察されます。

2011~2013年にサッカーアニメが集中しているのは、2011年にFIFA女子ワールドカップでなでしこジャパンが優勝し、次いで2012年のロンドンオリンピックでも銀メダルに輝くなどの活躍があり、このことで日本国中がサッカー熱で湧いていた時期だったことが背景にあることが窺われます。

なぜ1回置きなのかの理由には明確な答えを得られることはできませんでしたが、少なくともワールドカップがあることによって、サッカーマンガのアニメ化やオリジナルのサッカーアニメの企画が通りやすいということがありそうに思える結果だったのではないでしょうか。


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