「高知県アニメプロジェクト」の進捗状況報告があった件

アニメの未来を考える

高知県内外のアニメ関係者とのさらなる連携を生み出すことを目的に、2022年11月9日に開催されたカンファレンス「アニ魂サミット」には、報道によると、全国約40社のアニメ関連企業やクリエイター、自治体、メディア関係者約200名が参加し、その中で、以前のコラムで取り上げた「高知県アニメプロジェクト」の進捗報告が行われたとのこと。

産官学金が連携する「高知アニメクリエイター聖地プロジェクト実行委員会」を設立すると共に「高知県アニメプロジェクト推進会議」を設置し、6つの開発目標として、
1. 高知アニメクリエイター祭(アニメ版のカンヌ映画祭のようなイベント)
2. 高知アニメクリエイターアワード(アニメクリエイターの人材発掘)
3. アニメ会議(アニメクリエイターの情報発信・交流)
4. 高知デジタルクリエイティブラボ(アニメスタジオや人材育成を含むアニメ産業の集積化)
5. 高知デジタルクリエイティブベース(オフィスや宿泊機能)
6. アニメクリエイター”プレミアム”計画(アニメ企業誘致・ロケハン誘致のための食・活動・ロケ地などの優遇)
を挙げ、各プロジェクトの進捗状況が説明されました。

上記の6つの開発目標の他、高知県内に新設されたアニメ制作会社「スタジオエイトカラーズ」の宇田英男社長が、高知発のアニメーションブランド「土佐ノ國アニメーション」を立ち上げ、長編アニメーション制作ができるアニメ産業の基盤を高知に創設することにチャレンジしたいと抱負を語っていましたが、前回の情報では、従業員1名とインターン2名という体制で、これから人材募集を行っていく段階とのことでしたので(現在は15名程の従業員がいるようです)、本当にまだこれからという印象で、可能性は未知数といったところでしょうか。

ちょっと似たような名前が並んで解り難いのですが、どうも「高知県アニメプロジェクト」は推進会議の名前で、「高知アニメクリエイター聖地プロジェクト」は実行委員会の名前ということで、組織が異なるということらしいです。
推進会議で全体方針を決め、実行委員会がその方針に従って実施・運営をしていく体制ということのようです。

「高知県アニメプロジェクト推進会議」には、商工会議所や商店街振興組合といった産業界、高知大学、高知県立大学、龍馬学園といった高等教育機関の他、金融機関である高知信用金庫、報道機関からは高知新聞社、高知放送、テレビ高地、高知さんさんテレビといった組織や企業の会長、理事長、代表取締役たち、行政機関からは高知市、南国市、須崎市の各市長に高知県知事が委員として名を連ねています。
「高知アニメクリエイター聖地プロジェクト実行委員会」の方は公開情報が見られませんでしたが、おそらく「アニ魂サミット」でカンファレンスに登壇したKADOKAWA、小学館ミュージック&デジタルエンタテイメント、アルファコード、海洋堂、スタジオエイトカラーズ、ワールドエッグス、信金中央金庫、高知信用金庫などがメンバーなのではないかと推察されます。

運営組織の大きさに対し、プロジェクトのアウトプットとなる「スタジオエイトカラーズ」の規模感とのギャップが大き過ぎて、少し不穏な空気を醸し出している印象はありますが、このプロジェクトの成否によって、今後これに追従する自治体が出てくるかどうかもにも関わってくるので、是非とも成功していただきたいところではあります。

それにしても、この段階でまだ「高知アニメクリエイター聖地プロジェクト」の公式サイトすらなく、高知県の公式サイトにも、「令和4年度第1回高知県アニメプロジェクト推進会議」の概要が記載された1ページしかないというのは、どうしたことでしょう。
「高知アニメクリエイター祭」に向けたプレイベントという位置づけで11月12~13日に開催された「高知アニメクリエイター祭・プロジェクトゼロ」の公式ページは、高知信用金庫の公式サイト内に設けられています。
Twitterのアカウントくらいはさすがに作ってあるだろうと思って検索したところ、「【公式】高知アニメクリエイター聖地プロジェクト」という名前で @kochi_anicreというアカウントを発見しましたが、プロフィール欄が「テストテストテストテストテストテストテスト………テストテストテストテストテストテストテ」となっており、ツイートは非公開設定となっています。
未発表のプロジェクトならいざ知らず、プロジェクト始動の発表から1か月以上も経過し、大々的な進捗発表会まで開いている段階で、この状態はかなり不安を感じさせます。

神籬では、今後のアニメ業界にも少なからず影響を与えるであろうこの「高知アニメクリエイター聖地プロジェクト」の進展を見守っていきたいと思います。