番外編:商店街活性化の好事例① 洪福寺松原商店街

今回は前回の商店街活性化の方法は、“商店街に需要を作ること”に集約されるというポイントを押さえた上で、成功事例のいくつかを紹介したいと思います。

洪福寺松原商店街
神奈川県横浜市保土ヶ谷区~西区にある「洪福寺松原商店街」は、戦後間もない頃に誕生した歴史ある商店街で、天王町駅から徒歩6分の距離にあり、200m四方に約90店舗が軒を連ねています。
一時は近隣に出来た大型商業施設などの影響で客離れが進み、深刻な状況に陥ったそうですが、現在では、平日でも平均で約2万人の人出があり、年末には1日で10万人もの人が訪れる賑わいで、県外からのバスツアーも来る程の盛況ぶりとなっています。

全国的に商店街が苦戦を強いられている中で、この抜群の集客力の大きな理由となっているのは、安さと品揃えです。
戦後から続く小売店が多く、卸売市場からの信頼の厚さから、安くて良い品を優先的に提供してもらえる関係性を持っていることが強みで、大型商業施設やスーパーなどよりも商店街の方が圧倒的に安くものが買えることです。
その上、商店街には、鮮魚から精肉、青果、乾物、惣菜、茶、酒、パンなどの食料品から、日用品店、衣料品店、インテリア・雑貨、医薬品、生花などの店舗の他、ドラッグストアやダイソーまであり、たいていの買い物が商店街で済んでしまうので、大型商業施設へ行く必要性が低いのです。
夕方になると品物を捌くために叩き売りが行われ、それ目当てに来る客もいるようで、店員とお客の距離が近く、値引き交渉など、大型商業施設やスーパーなどにはないコミュニケーションがあるのも魅力となっています。
さらには、商店街には露店や立ち食い店などがあちらこちらにあって食べ歩きという楽しみもあり、安さや品揃えだけではなく、買い物自体が楽しいという商店街になっています。

安さと品揃え、買い物の楽しさという優位性に胡坐をかくことなく、商店街はさらなる努力を続けており、まず、駐車場を整備することで、車が停められないから商店街より大型商業施設を利用するという客離れ要因を取り除き、さらに商店街を大きな商業施設に見立て、駐車場でショッピングカートの貸し出しを行い、商店街内の各店のお買い得商品などをスーパーのチラシのようにまとめたものを配布しています。
激安で知られる商店街ですから、遠方から来て一度に大量の買い物をする客も多く、そのニーズに合った施策というわけです。商店街の店の中には、宅配サービスを行っている店まであり、もはや至れり尽くせりといった印象です。

商店街はこれにも飽き足らず、街灯の整備や防犯カメラの設置、休憩所を設けたり、調子が悪くなった客のために医師に連絡できる体制を作ったりといったインフラ整備も進め、横浜国立大学とのコラボで、地域活性化などをテーマとした研究の実地実験の場として活用を目指したりなど、商店街のさらなる進化を模索しており、その貪欲さというか、向上心の高さにこそ、洪福寺松原商店街の成功の要因があるのかもしれません。

次回に続く


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当該商店街の状況や特質などを聴き取りさせていただき、他地域における成功事例を踏まえた上でのアドバイザーから、他に事例がないような新たな企画、地元の特性に合わせた施策の提案、実施サポートまで幅広くお手伝いさせていただきます。
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