番外編:イベント集客での商店街活性化の落とし穴

神籬では、「アニメ聖地巡礼」と題したコラムの番外編として、町おこしや地域活性化について取り上げていますが、今回は、商店街の活性化について、陥りやすい落とし穴や、成功のためのポイントなどを解説したいと思います。

ネットの記事や、関係の話を聞いてみると、商店街の活性化について、商店街性化=集客と考えている人が少なからずいるようなのですが、実はこれ、大きな勘違いなのです。
商店街でおもしろいイベントを実施して一時的に人を集めても、それはイベント目的で来ただけで、イベントがない日にも商店街に来ようという人は、ゼロではないとしても少数派でしょう。
元々ある程度賑わっていて、さらに多くの人に来てもらいたいという集客イベントであれば別ですが、すでに人流が離れて空き店舗が目立つ、いわゆるシャッター商店街のような所では、そもそも需要がないので、人を集めても、商店街の衰退に歯止めをかけるような効果は得られません。
イベントで500人集めようが、1000人集めようが、イベントの翌日以降、日に10人程度しか来ないような商店街は、いずれ消える運命を回避できないでしょう。

何も集客イベントが悪いと言うっているわけではなく、それだけを頼りにしたような集客イベント至上主義的な施策や、実施するタイミングなどに問題があるのです。
衰退しはじめている商店街では、「集客イベントを起爆剤にして」とか「一度でも商店街に来てくれれば魅力がわかる」といった段階はとうに過ぎていて、的外れに終わるでしょう。
商店街から人が離れた原因にメスを入れないまま起爆剤を打っても気休めにしかなりませんし、訪れただけで魅力が伝わるような商店街であれば、そもそも衰退などしなかったはずです。

では、衰退の原因とは何か?
近くに大型商業施設ができたとか、地域住民のライフスタイルの変化、商主の高齢化と後継者不足による空き店舗の増加など、表面的な要因は様々あり、全て別々の問題のようにも思われますが、実はこれらの要因は全て、“商店街に需要がなくなった”という一点に集約できてしまいます。
そして、商店街の活性化の方法も、“商店街に需要を作ること”に集約されます。言い方を変えると、“商店街に人が訪れる理由を生み出すこと”です。

それを実現するために、「商店街内に繁盛店を増やす」だったり、「商店街に行かないと体験できないこと」や「商店街に行かないと入手できないもの」を作ることが重要です。
無料の駐車場を用意して「車で行ける利便性」を提供したり、格安店による「他で買うより安い」というメリットなども、需要を高める要素になり得るでしょう。

商店街へ行く需要を生み出した上でなら、さらなる繁盛を求めて実施する集客イベントが効果を生むことでしょう。あるいは、商店街が生まれ変わったことをPRする目的でのイベントでも良いかもしれません。
集客イベントが単なる人集めではなく、商店街内を回遊させるものであったり、各店舗の利用が前提となっているような内容のものであれば、さらに大きな効果を生む可能性もあります。
繰り返しになりますが、需要がない商店街で闇雲に集客イベントを実施しても効果を生みません。まずは需要を生み出すことが第一で、その次に集客イベントという順番で実施するのがポイントです。

次回は、今回のポイントを踏まえた商店街活性化の参考事例を紹介していきたいと思います。


神籬では、商店街の活性化への取り組みなどのご相談を受け付けています。
当該商店街の状況や特質などを聴き取りさせていただき、他地域における成功事例を踏まえた上でのアドバイザーから、他に事例がないような新たな企画、地元の特性に合わせた施策の提案、実施サポートまで幅広くお手伝いさせていただきます。
ご興味にある方は、是非問い合わせフォームよりご連絡下さい。