サブカル系の観光資源の種類や特性、価格などについて解説してみた件 後編

前回に引き続き、サブカル系の観光資源の種類や特性について解説していきます。

ラッピング自動販売機
これも昔からあるものですが、最近特に目立って増えて来ています。
他と同じく発注する業者によって価格は異なりますが、版権使用料などを除いた制作費だけで言えば、側面のみなら1~2万円程度、全面フルラッピングの場合は5~10万円程度が相場のようです。
新規設置の際には、自販機のレンタル業者がラッピングを無料でやってくれるサービスなどもあるので、場合によっては負担の少ない形で実施することもできるようです。
伊藤園が『ポケットモンスター』とコラボしたピカチュウラッピング自販機が、2017年に横浜に登場して以来、現在では全国各地に広まっている他、アニメコラボのラッピング自販機などは、その時々で人気作品に移り変わる期間限定コラボが散見され、地元キャラや企業PRのラッピング自販機なども多く、現在ではラッピング自販機自体がそれ程珍しくないものとなっています。
池袋の『デュラララ!!』や立川の『とある魔術の禁書目録』のラッピング自販機のように、地元が舞台のアニメで、期間を定めずに長く展開されているものもありますが、そうしたものでも、設置店舗が閉店したり、建物の解体や区画整理などによって、予告なく撤去されてしまうケースがあります。
往々にして、設置時には告知されても撤去時には告知されないものなので、たまたま出会ったファンたちには嬉しいものではあっても、モニュメントやマンホールに比べて維持に関しての確実性が各段に低く、それ目当てで訪れるファンにとってはリスクが大きいとも言えるでしょう。

等身大パネル
かつては観光地によくある顔ハメ看板として有名でしたが、現在は、安いものであれば3000円程度から制作できるので(版権使用料は別)、銅像やFRPオブジェに比べて格段に安価な上に制作期間も短く、移動や設置などから処分も含めて取り扱いが容易なために重宝されています。
国民的アニメのようなものであれば長期の活用が見込めるので、立体物に投資する価値がありますが、人気の継続性に難のある1クール(3か月12話程度)のアニメ作品などでは、立体物に比べてはるかに見劣りはするものの、とりあえず等身大パネルやポスターなどで短期的な効果を狙ってみるという動きにならざるを得ないというのが実情のようです。
アニメの消費期限問題を考慮に入れた上で、費用対効果の面から見ると、意外にも集客効果が高いという評価もあり、これらを使って人気の推移を見つつ、作品がヒットした際にはさらなる投資を検討するというのが、現状に見合った賢い方法なのかもしれません。

乗り物系のコラボラッピング
ラッピング電車やラッピング観光バス、ラッピングタクシーなどがありますが、版権使用の場合、そのほとんどが期間限定のキャンペーンで行われるもので、一時的なイベントとしての集客は見込めても、長く地元の観光資源となり得るものにはなり難いというデメリットもあります。
自治体や地元商店街などが行うものではなく、大抵は鉄道会社やバス、タクシー、観光業者などが、売上の5~10%を版権使用料として支払って、アニメやマンガの版権イラストなどを使用させてもらうというものになります。


細かいものを挙げればきりがありませんが、現在主流のものを中心に紹介してみました。
当然のことながら、移動や撤去が容易なものほど観光資源としての価値は低く、色褪せがしやすい印刷物など、劣化しやすいものほど歓呼資源としての賞味期限が短いので、恒久的な町おこしや地域活性化に活かそうとするのであれば、それなりの投資が必要になってくるわけです。


神籬では、サブカル系の観光資源創出のお手伝いやご相談を受け付けています。
補助金の活用などの他、費用を極限まで減らす、あるいは費用の出所を他に求めるなどの裏技などもありますので、ご興味のある方は、是非問い合わせフォームからご連絡下さい。