サブカル系の観光資源の種類や特性、価格などについて解説してみた件 前編

アニメ聖地巡礼ブームが一段落した印象で、企業や自治体がこれをビジネスに活用する方向性から、本来のファンたちの行動に立ち返った感がある中、近年、聖地とは異なるサブカル系の観光資源がたくさん見られるようになりました。
とは言っても、新たに生み出されたものばかりではなく、昔からあったものが再注目されたり、脚光を浴びる形で発展したりといったもので、アニメやマンガ、キャラクターなどを活用したサブカル系の観光資源の新たな潮流となっています。
今回はそんなサブカル系の観光資源の種類や特性について解説してみたいと思います。

銅像(ブロンズ像)
日本で最初にアニメ・マンガのキャラクターの銅像が出来たのは、1983年に飯能市で作られた鉄腕アトム銅像が最初だと言われています。
現在では水木しげるロードに200体近くの妖怪銅像が立ち並び、最近では、2018~2022年にかけて熊本県内各所に『ONE OIECE』の麦わら一味の銅像が設置されたり、大分県には『進撃の巨人』の銅像、東久留米駅前にはブラック・ジャックの銅像といったように、各地に次々と設置されています。
銅である理由は、アルミニウムや鉄などに比べ、コストや耐久性、加工のしやすさからですが、あくまで他の素材に比べればというもので、決して安い買い物とは言えません。
世田谷のサザエさん銅像は全12体で4,000万円の費用がかかったとの報道もあり、東久留米駅前にある等身大のブラック・ジャックの銅像はピノコを含めた2体で1,000万円とのこと。水木しげるロードの妖怪銅像は30~40cm程の小ぶりなものが多く、一番安くて100万円程とのことなので、大きさによっても大分差があるようです

石像
神社の狛犬や地蔵など、日本においては銅像よりも歴史が長いので、普及するのも早く、いつの間にやら全国各地でサブカル系の石像オブジェ作られるようになりました。
設置物ではなく、アンパンマンやドラえもんなどの単なる置物の石像などは、12cm大から180cm大のものまで一般販売されているので、一般家庭の庭先から幼稚園やお寺の境内などでもよく見られます。
石の種類や大きさで制作費もまちまちですが、銅像よりは安いといった印象です。
材質にもよりますが、メンテナンス不要で野外で恒久的に設置しておけるので、観光資源としても優秀です。
表面加工や石材の埋め込みなどにより、モノクロ絵のような色分けも可能なので、再現性の高いキャラクター造形も可能です。

FRP(強化プラスチック)オブジェ
銅像に比べるとやや安っぽさはあるものの、軽くて頑丈な上、全天候型のカラー塗装ができるので再現性が高く、アニメやマンガのキャラクターの造形物としては人気があります。
銅像や石像よりも耐久性が低く、環境によっては、塗装に劣化が生じることもあるので、銅像よりも小まめなメンテナンスが必要になることもあります。
等身大のものでも30~60万円、小ぶりなものであれば10~15万円といった比較的低価格で製作できるのもメリットです。
また、ブロンズ風の塗装もできるので、銅像だと見せて実はFRP製という、見た目では判断がつかないオブジェも少なくありません。

デザインマンホール
最近のトレンドになっているデザインマンホールは、マンホールカードの配布もあって人気が高く、現在最も話題になりやすい観光資源ともなっています。
デザイン費用や設置工事費は別途かかるものとして、マンホールのみの制作費で言えば、東京都内でよく見かける非着色のサクラマーク柄の直径60cmのマンホール蓋の価格が6~7万円、カラーデザイン加工の場合、発注する業者によっても異なるでしょうが、だいたい10万円程度が相場とのこと。
小田原市が市内のマンホール蓋にPRの絵柄を入れたい希望者を募集した「小田原市デザインマンホール蓋設置事業」によると、希望者負担の制作費が1枚4万円+管理費月額4,000円となっており、これは市の金儲け事業ではなく、下水道事業のPRと地域の活性化を目的とした事業なので、希望者負担額以外の費用は市の補助金で賄われるというもののようです。
小金井市が市下水道事業イメージキャラクター「桜水くん」のデザインマンホールを製作・設置した「観光用デザインマンホール蓋設置・活用事業」におけるマンホール蓋6枚の制作費が123.3万円と記載されていることから、デザイン込みでは1枚約20万円というところでしょうか。
都道府県から設置する市区へ、あるいは企業などがPR目的で設置する場合には設置する市区などの自治体から補助金が出る場合があるので、実質的な負担はかなり抑えることができ、それがデザインマンホールの設置ブームの後押しになっているようです。
『ポケットモンスター』の「ポケふた」や「ガンダムマンホールプロジェクト」のように版権会社が、設置に名乗りを上げる自治体を募集するケースも見られるので、今後ますます増えていくことでしょう。

次回に続く