番外編_町おこしの失敗事例の要因をご紹介 後編

今回も前回に続き、失敗事例とその要因を、具体的な地名や年代、団体名などを避けつつご紹介します

行政の委託業者選択による失敗事例
某地域では、アニメやサブカルイベントで地元を盛り上げようという政策を掲げる行政の後押しもあり、地元の商店街が中心となってアニメやコスプレ、痛車関連のサブカルイベントを実施して盛況を博しました。
第1回の成功で勢いを得て第2回、第3回と順調に回を重ねていましたが、第4回目となる年に、行政が6000万円以上とも言われる補助金を出し、業務委託で再開発ビル内にアニメに特化した商店街を作りました。
行政では、再開発エリアや空きビルの活用についての企画提案を含めた事業者公募を行い、アニメに特化した商店街の提案を行った事業者を選定して事業委託契約を締結しました。ところが、この事業者は事業運営には携わらず、実際には別の業者が運営主体となっていたのです。

そこで何が起きたのかと言うと、事業の運営開始当初から、関わった複数の会社に対しての不払い問題が起きており、一部の業者がSNS上でこれを告発して炎上騒ぎとなった結果、開業からわずか2年程で商店街は閉鎖。
批判の矛先は、業者のみならず、多額の補助金を投じていた行政にも向かい、事業者選定コンペの応募期間がわずか1週間だったことや、運営事業者の審査方法などについての問題点が指摘されました。
実は過去に同じ行政区内で開催された別のアニメ系イベントでも、行政が委託した業者が倒産して未払い問題が発生したことがあり、今回も同じことが繰り返されていたのでした。

結果的に、この地域では、アニメやサブカルでの町おこし政策に大いに水を差される形となり、回を重ねていたサブカルイベントもこの年を最後に開催されなくなってしまいました。
この事例では、イベント開催が上手くいっている中で、行政が問題のある業者をプロジェクトの中枢に引き込んでしまったことが心配要因となりました。
イベント主催側に落ち度がない中でのこの結末は、関係者や発展を期待していた住民たちにとっても、やりきれない思いが残るものとなったことと思われます。

また、もう一つの側面として、地域活性化事業には、国や自治体から補助金が出るため、どうしたら補助金が下りるかという観点で企画され、本来の目的である地域活性化や地域住民の利益などが抜け落ちた、いわゆる「補助金目当て事業」のようなものが生まれやすいので、この点も注意が必要です。

この他にも失敗事例は数多くあり、その要因を検証することで、失敗要因を事前に排除して成功確率を高めることができるのですが、その一方で、他地域の失敗事例を知らないばかりに、全く同じ展開でまんまと失敗に陥る地域が後を絶ちません。
せっかく良い(悪い)お手本があるのに、知らないで損をするのはもったいないので、成功事例ばかりを追わずに、積極的に失敗事例にも目を向けてみてはいかがでしょう。


神籬では、地域活性化、町おこしなどのご相談を受け付けています。 特にサブカル系コンテンツやアニメ、マンガなどを活用した取り組みに強く、選択すべきコンテンツの指標や、町おこしのアイデア事例(成功・失敗事例)なども含め、データベース化された情報の提供を行うだけではなく、地域の特性や資質に合わせた提案、何もないところから観光資源を生み出す画期的なアイデアの提案、具体的に何から始めればよいのか、コンテンツの選択や手段などを含め、計画の策定から実行まで、幅広く活動を補助させていただきます。 ご興味のある方は、是非問い合わせフォームよりご連絡下さい。