都道府県別のサブカル系観光資源データベース

神籬では、アニメの舞台地である、いわゆる「聖地」のデータベース化に取り組んできましたが、同時に、舞台地とは異なるアニメ関連スポットもサブカル系の観光資源としてデータベース化しています。
今回はサブカル系の観光資源の統計データを公開しつつ、各数値などについて解説していきたいと思います。

収取対象は、下記のような4種に大別しています。
縁の人:マンガ家やアニメ監督などの出生地や育った町、在住地などのゆかりの地域
企業:アニメ制作会社、声優事務所、出版社などアニメやマンガ関連企業
ショップ:アニメやキャラクターグッズの公式ショップや、サブカル系のグッズ専門店
スポット:ミュージアムやテーマパーク、モニュメント、マンホールなどの他、アニメやマンガとコラボした駅や神社、仏閣、ポスト、自動販売機、作者や作品ゆかりの飲食店や各種店舗など

※期間限定のものや、等身大キャラパネルなど移動できるもの、ラッピング電車などの乗り物系やサービス関連などは対象外としています。

関東圏や主要都市などがある地域の数が多いのは当然ながら、鳥取県などは、200体近くの銅像やモニュメントが立ち並ぶ「水木しげるロード」や、25体以上の銅像やオブジェが設置されている「コナン通り」があるために東京に次いで数が多く、宮城県も30体以上のモニュメントがある「石巻マンガロード」があることから数値が大きくなっています。
熊本県はくまモン関連のもモニュメントや『ONE PIECE』の銅像で数値を伸ばしています。
高知県もやなせたかし関連で数が多く、福島県は円谷英二の出身地であることから多くのウルトラマン関連のモニュメントがあり、数が多くなっています。
また、逆に京都府などは、元々神社・仏閣などの観光資源が豊かでアニメ関連のスポット開発をする必要性が低く、景観を崩すような造形物を設置するのにも制限があることから数が少なかったりと、各地域それぞれの事情が反映されているようです。

『崖の上のポニョ』や『この世界の片隅に』などで聖地ブームの際にマスコミに取り上げられることが多かった広島は、アニメイトが県内に4店舗もあるなどアニメショップが多いエリアながら、観光資源としてのアニメ関連スポットは少ないのですが、これは京都と同じく古い町並みや景観を楽しむことに特化した地域が多いためとも考えられます。景観とは関係のない広島県の市街地や商店街などにアニメ関連スポットがあれば、アニメファンの観光客を呼び込める予知がまだまだありそうに思えます。

佐賀県は、近年までほとんどアニメ関連スポットがありませんでしたが、ここ数年間で『ゾンビランドサガ』や『ロマンシング サ・ガ』のデザインマンホールやモニュメントの設置を進め、県内各地にサブカル系の観光資源を急速に増やしてきています。

新潟県※1などは、ゆかりのマンガ家などが多く、素材があるのに、まだまだ数量的には観光資源の開発が進んでおらず、古町5番町商店街にある水島新司作品の7体の銅像を除くと、県内にはマンガ系のモニュメントやデザインマンホールなどもありません。
再アニメ化が発表された『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の作者・和月伸宏は新潟県長岡市出身(出生は東京)で、県内の地名から名付けられたキャラクターも多数登場しているので、今後、長岡市内で観光資源化の動きがあるものか、注目どころです※2。


神籬では、アニメやマンガ関連のスポットをサブカル系の観光資源と位置づけ、データベース化すると共に、その活用方法の事例や効果などを、町おこしや地域活性化に役立てる取り組みをしています。ご興味のある方は、是非問い合わせフォームよりご連絡下さい。


※1.新潟市は2012年に「マンガ・アニメを活用したまちづくり構想」を策定し、2013年に新潟市マンガの家や新潟市マンガ・アニメ情報館といった施設を開設し、「にいがたマンガ大賞」「にいがたアニメ・マンガフェスティバル」などのイベントを主催しています。

※2.新潟市美術館で開催された「25周年記念 るろうに剣心展」に合わせ、2021年6~8月に、県内のキャラクターの名前にゆかりのある場所をめぐってクイズに答える新潟市美術館・テレビ新潟主催のイベント企画「聖地巡礼 るろ剣キャラ巡り」を実施していました。