練馬区がアニメで盛り上がるアイデアを考えてみた件 中編
練馬区内の都市計画の状況
2020年8月末に、練馬区民が愛着と誇りを抱いていた遊園地・としまえんが閉園しました。
これは経営悪化や施設老朽化が原因ではなく、防災公園化の都市計画に伴う東京都からの土地買収及び閉園要請に、度重なる交渉の末、所有者である西武鉄道が折れる形で閉園を決定し、一部を残して買収に応じたと言われています。
売却しなかったこの一部の土地を使い、西武鉄道はワーナーと契約して「スタジオツアー東京‐メイキングオブハリー・ポッター」を2023年にオープンする予定となっています。
西武鉄道は、この施設の開園に合わせて豊島園駅の駅舎を、作中に登場する「ホグズミード駅」を彷彿とさせるデザインにリニューアルする予定なのだそうです。
『ハリー・ポッター』シリーズは、映画の公開と共に日本でもヒットしましたが、2011年7月公開された映画『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』で物語は完結済で、世界観を共有する『ファンタスティック・ビースト』シリーズは、全5作中、3作目が2022年4月に公開されて、現在も継続中ですが、『ハリー・ポッター』シリーズ程にはヒットしていない様子。
ワーナーによる施設運営期間は30年間とのことですが(その後は都立公園として改めて整備予定)、現状では多くのファンを維持している『ハリー・ポッター』は、物語が完結してしまっていることから、おそらく今後上向きになることなく下降していくことが予想され、どうやって急下降とならずに緩やかに下降していくかを考えなくてはいけないような先行き不安なコンテンツです。
どうやって延命していくのかわかりませんが、さすがに30年も継続はできないでしょうから、何年後かのどこかの段階で、『ハリー・ポッター』から別のコンテンツに切り替えていくことも想定された計画なのかもしれません。
東京都建設局:都市計画練馬城址公園の整備計画
としまえんの跡地のうち、東京都所有のエリアは都の計画で防災公園化していき、西武鉄道所有のエリアは、『ハリー・ポッター』のテーマパーク化していくということですが、当の練馬区は蚊帳の外。
としまえんの問題に練馬区の意志は全く見えて来ず、練馬区は練馬区で、中村橋駅近くにある区立美術館の老朽化に伴う改築計画を契機に、美術館のある美術の森緑地、商店街・駅へと続く動線を一体化して、中村橋駅周辺地域を、美術館を核としたアート空間化していく都市計画を発表しています。
練馬区:練馬区立美術館再整備基本構想
2021年は、練馬区在住のマンガ家・高橋留美子の代表作『うる星やつら』のアニメ放送40周年とあって、SNSや各メディアでは『うる星やつら』関連の記事やネタが取り上げられていましたが、練馬区からは特に何のアクションもありませんでした。
翌2022年1月1日には、『うる星やつら』の再アニメ化が発表され、次々とキャストが発表される度に話題となる中も、練馬区の動きは特に見られません。ついに今年10月に放送開始するとなった今でも、練馬区はおろか、練馬アニメーションサイト事務局の公式Twitterですら、『うる星やつら』について一言も発していません。
もはや、練馬区はアニメを捨ててアートに鞍替えするつもりなのかもしれません。
練馬区程の豊富なアニメ資産を持たず、1作品などわずかなアニメコンテンツで最大限の街おこしを試みている各地方自治体とは対照的な姿で、機会があれば、練馬区長にこの点について是非話を伺ってみたいものです。
次回へ続く
練馬区がアニメで盛り上がるアイデアを考えてみた件 前編
練馬区がアニメで盛り上がるアイデアを考えてみた件 中編
練馬区がアニメで盛り上がるアイデアを考えてみた件 後編