静岡ホビースクエアに行って来た件 後編

前回に引き続き、今回も静岡ホビースクエアの紹介をしたいと思います。

展示点数やスペースは、各社の勢力図が反映されているようで、バンダイとタミヤの2強に、その他の4社は横並びといった印象です。

まずはバンダイと双璧をなすタミヤです。
版権ものが少ないのでバンダイ程の派手さはないものの、展示点数はかなり多く、スペースも大きく取られています。

タミヤと言うと、元はミリタリー系のプラモデルを作っていてマニア向けのイメージでしたが、1980年代から始まったミニ四駆のブームによってその名は全国に知れ渡り、一躍有名企業となりましたね。

そのミニ四駆のパッケージでタワーが作られていました。
ちなみにタワーの上に掲げられている看板の中央パッケージングというのは、プラモデルの紙箱パッケージを主に手掛ける紙器・総合印刷の会社です。

一般的にはミニ四駆のタミヤのイメージが浸透しているかもしれませんが、古くからタミヤを知る世代にとっては、やはりミリタリーものこそタミヤの真骨頂という認識ではないでしょうか。

こちらは樹脂粘土などを使ってデコレーションされたフェイクスイーツを作る「タミヤデコレーションシリーズ」の展示です。

次はバンダイとタミヤ以外の4社の展示です。
帆船模型や寺社仏閣などの木製模型で知られるWoody JOE(ウッディジョー
飛行機・自動車・艦船・鉄道模型などで知られるハセガワ

自動車、艦船、航空機の模型の他、オリジナルキャラやアニメ版権の合体ロボットなどで知られるAOSHIMA(青島文化教材社)
レーシングカーなどのミニチュアモデルカーのブランド「EBBRO」で知られるMMP(エムエムピー)

ハセガワは、乗り物繋がりから『キャプテンハーロック』のアルカディア号や、『クラッシャージョウ』のミネルバといったメカものや、ちょっと変わったところで『電脳戦機バーチャロン』といったものも手掛けています。
『マクロス』シリーズでも有名なのですが、何故かハセガワのコーナーにはマクロスの展示はありませんでした。

あまり知られていませんが、AOSHIMAは、『伝説巨神イデオン』や『トップをねらえ!』といった昭和期のロボットアニメのプラモデルも手掛けています。
展示されているイデオンのプラモデルは、「40年の時を経て…」との謳い文句で2022年11月に発売された新作キットです。

物販コーナーは小さな模型店といった感じで、各社のプラモデルをはじめ、工具類なども売られており、世間では売り切れで買えないと嘆く声の聞かれていた『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のプラモデルもまだ残っていました。

静岡のおプラモデル文化は徳川家光のおかげ
静岡のプラモデル文化の原点には、3代将軍・徳川家光によって静岡浅間神社が復旧拡張造営された際に全国から名工が集められたことが挙げられます。
このことで木工などの技術が地場産業になっていった歴史基盤が、後のプラモデル産業の礎になったといわれているのです。
その関係性から、木製の裁縫箱や薬箱、玩具などの静岡特産工業協会の展示もあります。

また、静岡出身の元民間飛行士で、静岡の地場産業である木工に着目して青島文化教材社の前身である青島飛行機研究所を創業した青嶋次郎の展示コーナーもありました。
この青島飛行機研究所が、木製の動力付き模型飛行機を発売したことが、後のプラモデルに繋がった歴史を伝えるものとなっています。

ミニ四駆のサーキットや、工作やワークショップなどを行うイベントエリア、ラウンジなどもあります。

静岡ホビースクエアは、「模型の世界首都」のキャッチコピーを掲げる静岡市のPRを目的にホビーの情報発信基地となる施設です。
2011年開館とのことなので、すでに10年以上も運営されています。
しかし、静岡県民の知人たちに聞いても、ほとんどの方がその存在を知らず、ミニ四レーサーやプラモマニア以外の一般認知度はかなり低そうです。
静岡駅とペデストリアンデッキで繋がるビル内の施設でアクセスも抜群な上、入場無料とあって、何とももったいない限りです。

私が訪れた際も他に客がほとんどおらず、ほとんど貸切状態でした(サーキットでミニ四駆を走らせている人はいましたが、展示会場には客がいませんでした)。
これでPRという目的がきちんと果たされているのか不安になりますが、夏休みやイベント開催時にはもっと客が訪れるのかもしれません。
個人的には客が少ない方が気兼ねなくじっくり見られてうれしいところではありますが。

静岡駅前や駅構内には、プラモデルを模したオブジェがあるので、こちらも必見です。