杉並アニメーションミュージアムに行って来た件 ③

前回に引き続き、杉並アニメーションミュージアムをご紹介します。

施設工事による休館から再開した12月17日から施設の中3階と4階の空きスペースを使って、「映画ドラえもん展」が開かれており、映画の名シーンを集めたパネル展示や、絵コンテなどの製作資料、ひみつ道具を持ったドラえもんのリアルサイズオブジェが飾られていました。
来年3月3日公開の新作映画『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』のPRを兼ねての展示会かと思われ、会期は4月2日までの約3か月半と割と長めになっています。

リアルサイズのドラえもんオブジェは、それぞれお馴染みのひみつ道具を持っています。

メインフロアである3階側の企画展コーナーにも『ドラえもん』の展示がありました。

杉並区の施設とあって、スタジオが杉並区にあるサンライズ(現・バンダイナムコフィルムワークス)の『機動戦士ガンダム』の等身大フィギュアや、『ヱヴァンゲリヲン』の新劇場版シリーズを制作するカラーが杉並区に本拠を置くことから渚カヲルの等身大フィギュアがあり、同じく杉並区に本拠を置くGONZO作品『ブレイブ ストーリー』の等身大フィギュアは3体も飾られています。

練馬区や高田馬場を本拠としていた手塚治虫は「日本のアニメの歴史」コーナーにアトムの玩具2体と『ジャングル大帝』のレオの玩具が1体あるのみで、アニメ界での存在感に比べて扱いはかなり小さい印象です。
小金井市を本拠とするスタジオジブリ関連のものは「日本のアニメの歴史」コーナーに小さなトトロとネコバスのぬいぐるみがあるのみ。『パンダコパンダ』のぬいぐるみがありましたが、あれはスタジオジブリができる以前のAプロ時代の高畑勲と宮崎駿が手掛けた作品ですから、スタジオジブリではありませんし、こちらも扱いが小さいようです。

その他、『それいけ!アンパンマン』『名探偵コナン』(共に中野区のトムス・エンタテインメント制作)、『クレヨンしんちゃん』(西東京市のシンエイ動画制作)、『ポケットモンスター』(世田谷区のOLM制作)も「日本のアニメの歴史」コーナーにぬいぐるみや玩具があるのみで、『サザエさん』(荒川区のエイケン制作)は何も見つけられませんでしたから、やはり取扱いやすい作品とそうでない作品とがあるようにも思われます。

ただし、必ずしも杉並区にあるアニメ会社のみを取り上げているわけではなく、『ドラえもん』を制作しているシンエイ動画は西東京市にある制作会社ですし、等身大フィギュアが飾られていた『ハクション大魔王』のタツノコプロ、原画が展示されていた『人狼』のProduction I.Gは共に本拠は武蔵野市なので、協力を得られる制作会社の関係で展示に差が出てくるのかもしれません。

公立の施設とは言え、これだけの展示物があってすべて無料だというのですから、何ともお得な施設です。
平日はあまり客も多くなく、アニメ関連の資料本は見放題、ラインアップは多くはないもののアニメのDVDも観賞できたり、短編作品の上映会があったり(私が訪れた日は、1947年の『すて猫トラちゃん』が上映されていました)、たっぷり1時間以上は楽しめる施設です。ちなみに私は2時間以上滞在してしまいました。
特にライブラリーにある書籍がかなり充実していて、一般の図書館には置いていないようなものがたくさんあったので、時間があればもっと見たいところでした。

何と言っても、マンガの専門博物館やマンガがメインでアニメも含む博物館というはいくつもありますが、アニメ全般を対象にした専門博物館はこの杉並アニメーションミュージアムがオンリーワンの施設※とあって、その意味でも貴重な存在で、今後も継続運営していって欲しい施設です。


※東映アニメーションミュージアムは自社アニメ限定での展示、東京アニメセンター IN DNP PLAZA SHIBUYAは日本動画協会と大日本印刷の共同運営による企画展メインの施設とあって、アニメ全般を対象とした常設展示がある博物館というと、杉並アニメーションミュージアムだけになってしまいます。