デザインマンホールの新たな展開を予想してみた件

東京都の助成金制度などのおかげもあって、俄かに数を増やしたアニメ系のデザインマンホールは、すでに全国で600枚を超えています。
これだけ増えてしまうと、余程の強コンテンツでもないと話題に上ることが難しくなり、せっかく費用をかけて設置したのに、本来のPRという目的を充分に果たせないで終わるマンホール企画も出てきそうです。あるいはすでに、人知れず設置されて注目されないままになっているデザインマンホールもあるかもしれません。
そうならないためには、他との差別化を図る施策が必要で、その実例もすでに見られるようになってきています。

所沢市のKADOKAWA作品のイラストがデザインされたマンホールは、日本初設置の光るLEDマンホールとして話題となりました。
https://www.kadokawa.co.jp/topics/4659

岐阜県池田町の道の駅池田温泉に設置されている萌え系イラストのデザインマンホールは、四季に合わせた4枚のイラストバージョンがあって、季節ごとに入れ替えられるので、全部の絵柄を見るためには、最低年4回は現地を訪れないといけない仕掛けになっています

福島県福島市の古関裕而デザインマンホールにはQRコードがついていて、これをスマホで読み込むと動画音声ガイドを見ることができる仕組みとなっており、福島市ではこれを「話すマンホール」と称して紹介しています。
https://www.city.fukushima.fukushima.jp/gkanri-shisetsu/dmhcard.html

「話すマンホール」と言えば、東京ディズニーランドには、ディズニーファンにとってはお馴染みの踏むとしゃべりだすマンホールがあります。

昨年新潟駅前の広場に期間限定で設置されたアルビレックス新潟のデザインマンホールは、「公道では日本初のしゃべるデザインマンホール」としてアピールしていました。
https://www.albirex.co.jp/news/57711/

新潟のしゃべるマンホールは、マンホール製造メーカーや地元の水中音響機器メーカーとともに新潟市下水道部の若手職員が中心となって開発されたもので、蓋の裏に音声再生機器と人感センサーがあり、電池式のために恒久的な設置はできない欠点があるとのことです。
ディズニーランドのものは、近づくだけではなく、踏まないと音声が流れないようなので、振動感知や重量感知などを使っているのかもしれませんが、夢の国のことなので、下世話な技術系のネタ明かしはしてくれなさそうです。
ちなみに所沢市の光るマンホールは、付近に設置されたソーラーパネルと地下のケーブルで繋がれてLEDを使った発光ユニットに電力が供給される仕組みなので、恒久的な運用が可能になっています。

駅前や繁華街など周囲が騒がしいエリアでは音声が聞き取りにくいことも考えられ、動作確認やバッテリー交換などの管理の点も含めると、施設などの敷地内での設置が適しているかもしれませんが、このしゃべるマンホールはアイデア次第では化ける可能性もありそうです。
本当のマンホールでなくとも、センサーと再生機器だけ設置する穴を掘り、疑似的なマンホール蓋を上に乗せて、いかにも本当のマンホールのように装えば、比較的容易にしゃべるマンホールが作れそうです。
筆者はディズニーランドも疑似マンホールなのではないかと思っていますが、それでお客が楽しめるのであれば、本物かどうかは大した問題ではないと考えます。

企画としては、ディズニーランド同様、アンパンマンこどもミュージアムで戸田恵子によるアンパンマンのセリフが流れるマンホールや、藤子・F・不二雄ミュージアムで水田わさびによるドラえもんのセリフが流れるマンホールを設置するなどのテーマパークでのキャラクター活用の他、野沢雅子や神谷明など、声を聴いただけで誰もがわかるような有名声優を起用し、出身地などのゆかりのある自治体の施設で、観光案内のメッセージなどが聴けるマンホールというものも良さそうです。

しゃべるマンホール以外では、文字や映像を表示させるマンホールというものも出てくるかもしれません。
光るマンホールは、大阪市下水道事業解説125周年記念マンホールなど、所沢市以外でも設置例が現れており、今後も増えていくことが予想されますが、光ることができるのであれば、ディスプレイ表示も技術的には可能なはずで、特定のメッセージを表示させたり、ネット連動で更新できる情報を表示させることが出来るようになるかもしれません。

踏む度にLEDの光色が切り替わるなどのギミックや、もはやSFの領域に足を踏み入れる感がありますが、いずれは立体映像などをマンホールの上に映し出す技術が開発されることも考えられます。
魔法陣が描かれたマンホールの上に、立体映像のモンスターが出現するといった魔獣召喚的なものが実現したら、ファンタジー好きでなくとも心躍らずにはいられないでしょう。

今後もアニメなどのコンテンツを活用したマンホール事業は拡大していくでしょうし、氾濫すると個々のPR力は落ちていくので、当然ながら他との差別化は必須になり、技術的にも企画的にも、より練られた斬新なものが求められることになるでしょう。
神籬では、今後もアニメ×マンホールの動向に注目していきたいと思います。